神経細胞選択的なエネルギー代謝イメージング法の開発

2002 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14770486
• Research Institution: Hamamatsu University School of Medicine
• Principal Investigator: 小川 美香子 浜松医科大学, 光量子医学研究センター, 助手 (20344351)
• Keywords: 糖代謝 / ラット脳スライス / イメージング / 神経細胞 / 低酸素 / [^<18>F]FDG

Research Abstract

脳循環障害や神経変性疾患において、生理機能を保った神経細胞を特異的に描出することが、適切な治療や病態解明のために重要である。ポジトロン断層撮像法(PET)によれば、糖代謝イメージング剤[^<18>F]FDGおよび酸素代謝イメージング剤[^<15>O]O_2によりエネルギー代謝画像を得ることができるが、脳には神経細胞の他、グリア細胞も多く存在するため、これらの画像には両種の細胞によるものが含まれることとなる。
本年度は臨床上汎用されているPET薬剤である[^<18>F]FDGを用い、その糖代謝画像が神経細胞に寄与するのか、グリア細胞に寄与するのかについての検討をするための評価系の確立を行った。まず、ラット脳スライスを恒温チャンバー内で培養し、スライスをイメージングするシステムを構築した。さらに経時的に結果を解析するための、各スライスの自動位置合わせソフトを開発した。このシステムを用い検討を行ったところ、[^<18>F]FDGの時間依存的なスライスへの取り込みが観察され、スライスにおける糖代謝を画像化することに成功した。このシステムはチャンバーの条件を変化させることにより培養環境を変化させることができるため、さらに、低酸素条件における[^<18>F]FDGのとりこみについて検討を行った。この結果、[^<18>F]FDGは低酸素条件下ではより多く脳組織内へ取り込まれた。これは、低酸素ではTCAサイクルが回らずATP合成効率が低下するので、より多くの糖をとりこむことによりATP合成量を上げるためであると考えられる。今後、この[^<18>F]FDG取り込みの上昇がグリア細胞に依るのか神経細胞に依るのか明らかにするために、グリア細胞のTCAサイクルのみを阻害することが知られているモノフルオロ酢酸をチャンバー内に添加し検討を行う予定である。

Research Products

• [Publications] H.Saji: "In vivo imaging of brain dopmainergic neurotransmission system in small animals with high-resolution single photon emission computed tomography"Anal. Sci.. 19・1. 67-71 (2003)
• [Publications] M.Ogawa: "Direct electrophilic radiofluorination of a cyclic RGD peptide for in vivo alpha(v)beta(3) integrin related tumor imaging"Nucl. Med. Biol.. 30・1. 1-9 (2003)
• [Publications] M.Ogawa: "Synthesis and evaluation of 1-[(3R,4R)-1-cyclooctylmethyl-3-hydroxymethyl-4-piperidyl]-3-[(^<11>)C]ethyl-1,3-dihydro-2H-benzimidazol-2-one as a brain ORL1 receptor imaging agent for positron emission tomography"Nucl. Med. Biol.. 30・1. 51-59 (2003)
• [Publications] Y.Kiyono: "Norepinephrine transporter density as a causative factor in alterations in MIBG myocardial uptake in NIDDM model rats"Eur. J Nucl. Med. Mol. Imaging. 29・8. 999-1005 (2002)
• [Publications] H.Saji: "Evaluation of radioiodinated 5-iodo-3-(2(S)-azetidinylmethoxy) pyridine as a ligand for SPECT investigations of brain nicotinic acetylcholine receptors"Ann. Nucl. Med.. 16・3. 189-200 (2002)
• [Publications] Y.Magata: "Development of injectable O-15 oxygen and estimation of rat OEF"J. Cereb. Blood Flow Metabol.. 23(accepted). (2003)