2002 Fiscal Year Annual Research Report
高解像度磁気共鳴画像と神経心理学的検査による思春期における脳の発達の検討
Project/Area Number |
14770493
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
野原 茂 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (90324053)
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Keywords | MRI / adolescence / developmental change / schizophrenia / SPM |
Research Abstract |
思春期には、高次脳機能がほぼ完成すると同時に、自我や社会性が発展するが、これらの背景にはこの時期における脳の発達的変化が存在すると考えられている。また精神分裂病の発症は、思春期から青年期に多く、思春期における脳の発達になんらかの異常が生じている可能性が示唆される。このため、思春期健常者で脳のどの領域が発達するかを明らかにすることは、人間の脳と心を理解する上で興味深いものであるだけでなく、分裂病の発症メカニズムを解明するためにも大きな意義を有すると考えられる。そこで、思春期における脳灰白質変化を三次元MRIとstatistical parametric mapping(SPM)を用いて検討した。 対象は、思春期前期(13〜14歳)の健常者20名、思春期後期(18〜21歳)の健常者30名で、全例が右利きであった。対象者に検査に先だって検査の目的、内容などを説明し、書面による同意を得た。また、18歳未満の対象者からは、本人および保護者の書面による同意を得た。また、本研究は富山医科薬科大学倫理委員会の承認を得た。 全例に、全脳の三次元撮像を行い、高解像度MRI T1強調像を得た。MRI画像の解析はSPM99を用いて処理した。統計解析は、思春期前期群と思春期後期群との間で、脳灰白質体積をANCOVA modelを用いて比較した。 結果、思春期後期群の灰白質は、左側の内側側頭葉で思春期前期群に比べて有意に増大していた。一方、左側の内側前頭葉では、思春期前期群に比べて有意に減少していた。 今回の結果では、左側の内側側頭葉の灰白質の増大が認められた。内側側頭葉の灰白質増加は思春期における脳の発達的変化の一つの特徴と考えられた。
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