2002 Fiscal Year Annual Research Report
FTDP-17に出現するタウ陽性アストログリアの神経変性機序への関与の解明-免疫能異常とタウ蓄積形態について
Project/Area Number |
14770510
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
日野 博昭 横浜市立大学, 医学部・精神医学講座, 助手 (00336570)
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Keywords | FTDP-17 / グリア細胞 / リン酸化タウ / 4リピートタウ / 炎症性メディエーター |
Research Abstract |
FTDP-17剖検脳標本について、グリア系細胞の炎症性メディエーターとして知られている抗体を用いて免疫組織化学染色を行い、光学顕微鏡下で観察した。またCBD・PSP剖検脳標本を対照とした。 FTDP-17脳ではCD44とS100抗体による免疫染色で、多数のアストログリアが染色された。TNF-αでは一部のアストログリアのみ染色され、C1q、C3d、HLA-D、CD11b、CD68では明白なアストログリアの染色を認めなかった。この傾向はCBD・PSP脳でも同様であった。 FTDP-17脳では、変性の強い部位でCD44陽性アストログリアが多く出現する傾向がみられた。そのうちの約3分の1がCD44陽性タウ陽性で、残りの3分の2はCD44陽性タウ陰性であった。CBD・PSP脳では、より少ないもののCD44陽性タウ陽性とCD44陽性タウ陰性の出現頻度はFTDP-17とほぼ同程度の印象であった。一方、S100陽性タウ陰性アストログリアはこれらの疾患で多数出現し、S100陽性タウ陽性のものはほとんどみられなかった。つまり、タウ陽性アストログリアでCD44も同時に発現するものはその一部であり、S100についてはほとんど発現していなかった。これはCBD・PSP脳でも同じ傾向であった。 以上から本例のFTDP-17脳に出現するタウ陽性アストログリアは、CBDやPSPにみらるAstrocytic plaqueやTuft-shaped astrocyteと同様に、反応性アストログリアにみられる炎症性メデイエーターの発現が低下している可能性が示唆された。FTDP-17脳のアストログリアにおける免疫能異常がリン酸化タウの異常蓄積による何らかの機序によって引き起これることが考えられ、4リピートタウを呈するタウオパシーに共通の病態機序である可能性が推測された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Iseki E., Matsumura T., Marui W., Hino H., Odawara T., et al.: "Familial frontotemporal dementia and parkinsonism with a novel N296H mutation in exon 10 of the tau gene and a widespread tau accumulation in the glial cells"Acta Neuropathol. 102. 285-292 (2001)
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[Publications] Odawara T., Iseki E., Kanai A., Arai T., Hino H., et al.: "Clinicopathological study of two subtypes of Pick's disease in Japan"Dement Geriatr Cogn Disord. 15. 19-25 (2003)
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[Publications] Odawara T., Iseki E., Furukawa Y., Suzuki K., Hino H., et al.: "Degeneration of Pick bodies visualized by methenamine-silver staining and immunohistochemistry"Neuropathology. 22. 180-185 (2002)