2004 Fiscal Year Annual Research Report
奈良県橿原市の不登校生徒にみられる「引きこもり」症例の臨床的研究
Project/Area Number |
14770513
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
根來 秀樹 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (80336867)
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Keywords | 引きこもり / 不登校 / 社会恐怖 / 発達障害 / アスペルガー障害 / 家族教室 |
Research Abstract |
1.はじめに 昨年までの2年間の当研究で、奈良県立医科大学付属病院精神科の2001年4月1日から2003年3月31日までの2年間に新規で来院した2103人の調査の中で、「引きこもり」を主訴として来院した患者の中にアスペルガー障害などの発達障害や社会恐怖等と診断される患者が一定の割合で存在することを報告した。最終年度は病院に来院しない「引きこもり」症例の調査のため、独自に作成したアンケートを行った。なお本研究においては引きこもりを「一年以上の閉居」と定義し、閉居は「一週に二回未満の外出」とした。 2.対象と結果 2004年度に奈良県主催の「引きこもり」フォーラム、精神保健福祉センター主催の家族教室に参加した親のうち、アンケートの趣旨を十分に説明し、理解を得られた親83名を対象とした。引きこもっている子どもの83名のうち男子が54名(65%)、女子が29名(35%)と男子の割合が多かった。現在の所属は中学校が38名(45%)と多く、その次にどこにも所属が無い人が23名(28%)と多かった。「引きこもり」の前に不登校を経験している人が59名(71%)と非常に高率であった。精神科医や心療内科医の診察を受けた人は11名(13%)と低率であった。 3.考察 今回の調査で引きこもりは不登校を前駆症状としていることが多いことがわかった。精神疾患が見逃されていて、引きこもりが長期化する症例もあると考えられるため、不登校の段階の早期に精神科受診させるシステムが必要である。今回の調査のため、精神保健福祉センター主催の家族教室に参加した、そこで親からの相談や質問を受けたが、大変好評であった。まだまだ精神科医療の敷居が高いため、今回のように精神科医自身がフォーラムや家族会に参加したり、学校を訪問することで不登校の段階で早期に対応でき、「引きこもり」を予防できる可能性もあると感じた。
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Research Products
(1 results)