2003 Fiscal Year Annual Research Report
東洋医学的治療による、身体表現性障害患者のQOL(生活の質)の向上に関する研究
Project/Area Number |
14770514
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
山田 和男 山梨大学, 医学部附属病院, 講師 (70255553)
|
Keywords | 東洋医学 / 身体表現性障害 / 鑑別不能型身体表現性障害 / 転換性障害 / 漢方薬 / Quality of Life (QOL) |
Research Abstract |
身体表現性障害(SFD)患者では、Quality of Life(QOL)が低下している者が多い。今回、研究代表者は、鑑別不能型身体表現性障害(USD)や転換性障害(CD)患者に対する漢方治療の効果について、QOLの面より検討を行った。 <研究方法>慶應義塾大学病院漢方クリニックを初診にて受診した患者のうち、漢方未服薬でDSM-IVのUSDまたは罹病期間が6ヶ月以上のCDの診断基準を満たす120例のうち、3ヵ月以上にわたり規則的に漢方治療を行っていた100例(男性28例、女性72例、平均年齢45.8歳、平均罹病期間8.5年、USD79例、CD21例)を対象とした。これら100例に対し、患者の同意を得た上で、漢方薬による治療開始前と治療3ヵ月後にそれぞれWHO-QOL-26評価スケールを用いてQOLの評価を行い、漢方治療の前後での得点の変化について比較・検討した。統計解析には、Paired-t検定を用いた。 <研究結果>SFDの全般改善度は、著明改善13例、改善37例、軽度改善39例、不変9例、軽度悪化1例、悪化1例であった。また、治療3ヵ月後のWHO-QOL-26評価スケールの"QOL平均値"(3.21±0.41点)は、治療前(3.08±0.46点)と比較して有意な改善(t=-4.03、p=0.0001)を認めた。QOLの領域別では、"身体的領域"、"心理的領域"、"全体"で、有意な改善(p<0.001)を認めた。 <考察>オープンスタディの結果ではあるが、漢方治療により、SFD患者の身体化症状が改善し、QOLも向上することが示唆された。研究予定としては、身体表現性障害の主訴別に最も好ましいと考えられる漢方方剤を選定する方法を確立するためのデータベースを作成する予定であったが、主訴と使用した漢方方剤にばらつきを認めたため、実行できなかった。
|