2002 Fiscal Year Annual Research Report
発生工学的手法を用いた脳内アロマターゼの機能に関する研究
Project/Area Number |
14770591
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
本田 伸一郎 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (40257639)
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Keywords | エストロゲン / トランスジェニックマウス / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
マウスでは脳の他に、精巣や卵巣にもアロマターゼが発現している。アロマターゼノックアウト(ArKO)雄マウスでは、マウント行動をはじめとする性行動活性に著しい低下が認められるが、これらの異常が脳におけるアロマターゼの発現のみで回復するか否かを調べるために実験を行った。現在までの我々の研究により、脳特異的エクソン1の上流約6.5Kbのプロモーター領域にはアロマターゼの脳特異的な発現に関与するエレメントが含まれていることが明らかとなっているので、この6.5Kbのプロモーター領域にヒト・アロマターゼcDNAを連結したトランスジーンを用いてトランスジェニックマウス(TghAromマウス)を作製した。さらにTghAromマウスとヘテロArKOマウスを交配することにより、ArKO-TghAromマウスを作出した。RT-PCR解析の結果からArKO-TghAromマウスでは脳にのみアロマターゼが発現していることが確認され、組織特異的にアロマターゼ活性を回復したマウスの作製に成功した。ArKO-TghArom雄マウスの性行動を解析するとArKOマウスと比較して、明らかな性行動活性の回復が認められた。これらの結果は雄型性行動の発現には脳におけるアロマターゼの発現のみで十分であるということを示したのに加え、今回計画したトランスジェニックレスキューシステムが正常に機能することを証明する結果でもあると考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Bakker, J. et al.: "The aromatase knock-out mouse provides new evidence that estradiol is required during development in the female for the expression of sociosexual behaviors in adulthood"J. Neuroscience. 22(20). 9104-9112 (2002)
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[Publications] Bakker, J.et al.: "Sexual partner preference requires a functional aromatase (cyp19) gene in male mice"Horm. Behav.. 42(10). 158-171 (2002)
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[Publications] Plumari, L.et al.: "Changes in the Arginine-Vasopressin Immunoreactive Systems in Male Mice Lacking a Functional Aromatase Gene"J. Neuroendocrinol.. 14(12). 971-978 (2002)
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[Publications] Yamada, H.et al.: "Estrogen-dependent regulation of the expression of hepatic Cyp2b and 3a isoforms : assessment using aromatase-deficient mice"Toxicol. Appi. Pharmacol.. 79(1-5). 1-10 (2002)
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[Publications] 本田, 原田: "発生工学的手法を用いた脳アロマターゼ遺伝子発現の解析"ホルモンと臨床. 51. 58-60 (2003)