2003 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症発症機転における低分子量G蛋白質Rhoの意義の解明
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14770607
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
谷口 幹太 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (20333081)
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Keywords | 糖尿病腎症 / 塩酸ファスジル / 微量アルブミン / HMG-Co還元酵素阻害剤 |
Research Abstract |
(目的)平成15度はストレプトゾトシン(STZ)糖尿病ラットを用い、Rhoキナーゼの選択的阻害剤、塩酸ファスジル投与して尿蛋白排泄量に及ぼす影響を検討した。 (方法)SD雄性ラットに,STZ55mg/kgを腹腔内投与して糖尿病を作成した。ラットを健常対照群(C群、n=6)、糖尿病群(D群、n=5)、ファスジル10mg/kgを連日経口投与したファスジル糖尿病群(FSD群、n=6)およびフルバスタチン5mg/kgを経口投与したスタチン糖尿病群(FLD群、n=6)の4群に分別した。1ヶ月後、血圧を測定、採尿採血し、クレアチニンクリアランス(Ccr)ならびに尿中アルブミンを測定した。 (結果)血圧は、C群139.6±4.3mmHg、D群137.8±7.7mmHg、FSD群146.8±5.5mmHg、FLD群144.4±5.1mmHgであり、4群間に差違はなかった。体重100gあたりの腎重量比はC群3.04±0.16g、に対してD群で5.20±0.71gと有意に増加していたが、FSD群5.06±0.53g、FLD群1.42±0.38gでは腎肥大の抑制を認めた。CcrはC群0.82±0.17ml/minに対してD群1.76±0.39ml/minと上昇を認めたが、FSD群1.21±0.35ml/min、FLD群1.42±0.38ml/minでは抑制されていた。尿中アルブミン排泄量はC群0.90±0.16mg/日に対してD群2.41±0.30mg/日と有意の増加を認めたが、FSD群1.01±0.42g/日、FLD群1.39±0.78g/日と抑制されていた。 (結論)腎障害が、血圧とは無関係にファスジルならびにスタチンの投与で抑制されたことから、腎症の発症進展にRho、Rhoキナーゼ系の亢進が関与していることが示唆された。 以上平成15年度研究実績を報告する。
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