2003 Fiscal Year Annual Research Report
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14770623
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐伯 知行 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50256385)
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Keywords | 遺伝子治療 / 肺癌 / mda-7遺伝子 / アデノウィルスベクター |
Research Abstract |
前年度まではヒト肺癌細胞を接種したマウス皮下腫瘍モデルにてアデノウィルスを用いたmda-7遺伝子導入が抗腫瘍効果を示したことを報告した。生体内においてmda-7遺伝子導入により腫瘍の増殖抑制に加えアポトーシスが誘導された。 本年は、in vitro実験としてヒト肺癌細胞、肝癌細胞、胆管癌細胞を用いた実験を行った。ヒト癌細胞にadenovirusを用いmda-7遺伝子を導入することにより著明な腫瘍増殖抑制効果およびアポトーシス誘導を認めた。アポトーシスを誘導する経路についてWestern Blotを用いた発現蛋白の解析を行ったところmda-7遺伝子によるアポトーシス誘導には複数の経路があると考えられた。一つにはp53、Baxの過剰発現を契機としミトコンドリアを介してCaspaseの一活性化を誘導するもの。他にはp53を介さず、しかしミトコンドリアを介するCaspaseの活性化を誘導するものである。mda-7はIL-24と命名されたようIL-10グループに属するサイトカインの一種と考えられている。そのことより細胞表面のDeath Receptorを介したCaspaseの活性化誘導を検討したが、いまだその経路についての新しい知見は見出せなかった。 mda-7遺伝子の抗腫瘍効果については確認されたため、肺腫瘍に対するin vivoにおける効果を検討するためマウス転移性肺腫瘍モデルを作製し、全身投与による腫瘍内遺伝子発現、および抗腫瘍効果検討を試みた。ヒト肺癌細胞の肺転移マウスモデルに対して、リポソームによるmda-7遺伝子の肺組織および腫瘍への遺伝子導入に苦慮し、腫瘍内での有効なmda-7蛋白発現が得られていない。全身投与による遺伝子導入法の再検討が必要と思われた。
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