2003 Fiscal Year Annual Research Report
IFN-β遺伝子治療による腫瘍抑制効果のメカニズム-CTL活性化経路の解明
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14770624
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
尾高 真 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (20233554)
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Keywords | IFN-β / 遺伝子治療 / adenovirus |
Research Abstract |
腫瘍免疫についてこれまで多くの研究者が癌抗原の解析とそれに対する免疫応答の解明に努力してきた。また癌免疫の成立、あるいはそれを調節している液性因子であるサイトカインを治療へ応用する試み、すなわち癌免疫療法が動物実験のみならず臨床の場でも行われている。しかし癌免疫療法は必ずしも満足すべき臨床効果をあげるに至っていない。近年癌に対するサイトカイン遺伝子による遺伝子治療研究が活発に行われ、固形腫瘍に対する効果か報告されている。われわれはこれまでに固形悪性腫瘍に対する遺伝子治療研究を行ってきた。IFN-β遺伝子を導入したadenovirus(AdmuIFN-β)を用い、肺癌細胞、悪性中皮腫細胞による固形癌の腹腔内腫瘍モデルおよび皮下腫瘍モデルに対しAdmuIFN-β腺腔内投与、腫瘍直接注入による強い抗腫瘍効果と担癌マウスの生存期間の延長を示した(Cancer Res.2001Aug15;61(16):6201-12.)。その強い抗腫瘍効果の中心はclonal expansionを呈した非常に強いCTL活性を有するCD8^+T-cellであること解明した。AdIFN-β投与はコントロールベクター投与に比べ実に約80倍のCD8^+T-cellを誘導した(Molecular Therapy 2002 Aug.6(2):210-218)。AdIFN-βは非常に強い免疫応答作用を示し大量のCTLを誘導する。このAdIFN-βが持つ腫瘍免疫誘導能を用いれば生体の免疫能を強く賦活し抗腫瘍作用を誘導できると確信している。今年度、われわれはAdIFN-β投与により腫瘍細胞側ではIFN-β産生放出を確認し、腫瘍細胞におけるMHC class-I, II発現増強を証明した。以上による腫瘍抗原活性の増大が生体側ではdendritic cellに代表されるantigen presenting cell(APC)活性増幅を促しT-cell maturationを増幅させる。この経路を介してCD4^+,CD8^+T-cell clonal expansionを誘導すると考える。
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