2004 Fiscal Year Annual Research Report
移植後拒絶反応時のレシピエント末梢血活性化T細胞内MAPK活性
Project/Area Number |
14770634
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
秋吉 建二郎 久留米大学, 医学部, 助手 (80268945)
|
Keywords | 急性拒絶反応 / MAPK活性 |
Research Abstract |
BNラットをドナー、Lewisラットをレシピエントとしたラット腎移植モデルにおいて、免疫抑制剤(FK506)を投与した群(投与群)、投与しなかった群(非投与群)を作成した。 それぞれの群において術後0、1、3、4、5日に移植臓器を病理組織学的に検討したところ、非投与群では術後徐々に急性拒絶反応の所見が得られるようになった。Fujita(Transplantation, vol64, No.6, September27,1997)の分類では術後3日目にgrade1、術後4日目にgrade2、術後5日目にgrade3(急性拒絶反応(T869)の完成)であった。それに対し投与群の病理組織学的検討ではgrade1に相当する若干の炎症細胞の浸潤を認めたが、それが進行しなかったことより、それらは手術操作によるものと考えられた。 MAPK活性値は、非投与群において急性拒絶反応の病理組織学的所見が得られる術後3日目よりも早い、術後2日目から上昇していった(術後0日目、1日目、3日目と5日目との間で有意差を認める)。それに対し投与群のMAPK活性値は、術後徐々上昇していく傾向が認められたが各術後日数間に有意差を認めなかった。 以上の結果から、臓器移植術後に起こる急性拒絶反応の診断法として移植臓器の生検に依らずに行えるMAPK活性の測定が有用であることが示唆された。 しかし実際の臨床の場において、免疫抑制剤の投与量は血中トラフ値によって決められ、各個人で投与量が違う。今回はラットに投与した免疫抑制剤の血中トラフ値は測定しておらず、今回の結果をそのまま臨床に反映することはできないと考えられた。そのため、今後は血中トラフ値や移植臓器に関する血液生化学検査結果を求め、それらとの関連性を検討していくことが必要である、と考えられた。
|