2002 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍新生血管を標的とした癌選択的遺伝子治療法の開発―生体外臓器システムを用いて―
Project/Area Number |
14770637
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
丸田 福門 信州大学, 医学部附属病院, 助手 (00293481)
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Keywords | 消化器癌 / 大腸癌 / 遺伝子治療 / ベクター / 腫瘍ターゲティング / ファージライブラリー / バイオパンニング / ペプチド |
Research Abstract |
信州大学倫理委員会の審査通過後、研究を開始した。文章による同意が得られた、大腸癌手術患者より摘出した手術標本を使用した。大腸癌を、右側癌(盲腸、上行結腸)、横行結腸癌、左側癌(下行結腸、S状結腸、直腸上部)の3種類に分け、それぞれについて独立して研究を行った。 摘出直後の大腸癌標本の癌栄養動脈および相同静脈にカテーテルを挿入固定し、PBSにて環流する生体外臓器システムを開発した。このシステムを用い、大腸癌摘出標本内にM13ファージライブラリー(5X10^<11>pfu)を経動脈的に注入し15分間環流させた。その後、新しいPBSを同システムに環流させ浮遊ファージを除去した。癌組織を摘出、ホモジェネートし、癌組織に強結合しているファージを回収した。回収されたファージを精製増幅し、次の実験用のファージライブラリーとした。以上のサイクル(バイオパンニング)を、右側癌、横行結腸癌、左側癌それぞれにつき3回ずつ行った。その結果、例えば左側癌の場合、1回目のバイオパンニング後に回収された癌結合ファージは9X10^4pfu/gだったのが、3回目では5.8X10^6pfu/gと60倍以上に増加しており、ファージに癌組織選択性が付与されたと考えられた。また、3回のバイオパンニングをくり返した後に得られた癌結合ファージの結合触手のシークエンス解読により、癌選択的結合ペプチドの配列が決定された。 研究成果の一部は、平成14年の第57回日本大腸肛門病学会(パネルディスカッション「大腸癌遺伝子研究の臨床応用」)、第44回日本消化器病学会大会(パネルディスカッション「消化器癌に対する新規治療法の試み」)で発表、平成15年の第89回日本消化器病学会総会(シンポジウム「消化器癌におけるテーラーメイド治療」)、第103回日本外科学会(ワークショップ「癌遺伝子治療の展望」)および米国癌治療学会2003年次総会にて発表予定である。
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