2002 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪肝ラットにおける肝虚血再還流障害のメカニズムに関する検討と臨床応用への試み
Project/Area Number |
14770638
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小林 聡 信州大学, 医学部付属病院, 助手 (90334903)
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Keywords | 肝 / 虚血再還流障害 / apoptosis / サイトカイン / ZVAD-fmk |
Research Abstract |
背景:肝温虚血再還流(WI/R)障害には好中球が関与し、その集積遊走という過程においてはcytokineが中心的役割を果たしている。一方、WI/R後の好中球浸潤から肝障害にいたる一連の過程はapoptosusがtriggerとなっていると報告されているが、そのメカニズムは明らかでない。目的:ラット肝WI/R後のapoptosisによる肝障害発生機構を明らかにするためcaspase inhibitor(ZVAD-fmk)を投与し、cytokine発現という観点から検討。方法:Wistar系雄性ラットを使用し脾臓皮下植え込み術を施行、4週後60分の全肝I/Rを実施。A群:control群、B群:ZVAD-fmk投与群(0.3mg)とし、I/R後3、6、24hに肝標本を採取(n=5)。Caspase-3活性を測定。Apoptosisによる肝細胞(HC)、類洞内皮細胞(SEC)死はTUNEL法およびDNA fragmentationにより評価し、TUNEL陽性細胞数/単位細胞をapoptotic index(AI.KC,AI.SEC)とした。好中球数をカウント。HC障害の指標として肝細胞壊死範囲(NA)およびALTを測定。RT-PCR法により肝組織中のproinflammatory cytokine(TNF-α),chemokine(MP-1α,CINC、MIP-2)のmRNA発現を評価。結果:ZVAD-fmk投与により1)Caspase-3活性は抑制され、2)AL.HC、AI.SECは有意に減少(0.4±0.1% vs 3.4±0.9%, p<0.05. 3.8±5.3% vs. 7.0±3.9%, p<0.05)。3)好中球浸潤(102±17 vs. 224±66, p<0.05)、および肝障害(NA:8±2% vs. 36±5%、p<0.05, ALT level:8923±1911U/I vs. 13418±2276U/I, p<0.05)は有意に軽減され、4)Cytokine mRNAはそれぞれbaseline値まで抑制された(A群では対baseline値でTNF-α:10倍、MIP-1α:5倍、CINC:6倍、MIP-2:5倍と増強)。結論:WI/R injuryにおいてapoptosisはcytokine及びchemokineを介して好中球浸潤や肝障害を惹起している可能性が示唆された。
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