2003 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪肝ラットにおける肝虚血再還流障害のメカニズムに関する検討と臨床応用への試み
Project/Area Number |
14770638
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
小林 聡 信州大学, 医学部附属病院, 助手 (90334903)
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Keywords | 肝 / 虚血再還流障害 |
Research Abstract |
背景:これまでの検討で肝I/R injuryにおいてapoptosisによる肝細胞死が虚血時間の長さ、すなわち障害の強さに依存して引き起こされその後の肝障害のtriggerとなっている可能性が示唆された(Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol 281:G577-585,2001)。caspase inhibitorを用いた検討では投与群においてapoptosisが抑制されその結果肝障害が軽減されることを確認した。今回ラット肝WI/R後のapoptosisによる障害機構をcaspase inhibitor(ZVAD-fmk:以下ZV)を投与し、cytokine発現という観点から検討した。方法:Wistar系雄性ラットを使用し60分の全肝I/Rを実施。A群:control群、B群:ZV投与群とし、I/R後3、6、24hに肝標本を採取。Caspase-3活性を測定。Apoptosisによる肝細胞(HC)、類洞内皮細胞(SEC)死はTUNEL法およびDNA fragmentationにより評価し、TUNEL陽性細胞数/単位細胞をapoptotic index(AI.HC,AI.SEC)とした。RT-PCR法により肝組織中のTNF-α,chemokine(MIP-1α,CINC、MIP-2)のmRNA発現を評価。結果:ZV投与により1)Caspase-3活性は抑制され、2)AI.HC、AI.SECは有意に減少。3)好中球浸潤、および肝障害は有意に軽減され、4)Cytokine.mRNAはそれぞれbaseline値まで抑制された(A群では対baseline値でTNF-α:10倍、MIP-1α:5倍、CINC:6倍、MIP-2:5倍と増強)。結論:WI/R injuryにおいてapoptosisはcytokin及びchemokineを介して好中球浸潤や肝障害を惹起している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)