2002 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌におけるWntシグナル伝達系の遺伝子変異の検索:TCFの活性に注目して
Project/Area Number |
14770649
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
木村 昌弘 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助手 (50336682)
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Keywords | TCF4 / 食道癌 / LEF1 / WNTシグナル伝達系 / ベータカテニン |
Research Abstract |
本研究では、食道癌においてもWntシグナル伝達系、特にTCF4の活性に着目して研究を進めている。まず食道癌細胞株を、ベータカテニン抗体を用いて免疫染色を行なったところ、どの細胞株も核は染色されなかった。次に食道癌におけるTCF4の活性を確認するために、転写因子TCF4の結合認識配列を組み込んだルシフェラーゼベクターを作成した。食道癌細胞株にそのベクターを導入し、ルシフェラーゼの蛍光度によってTCF4の活性を測定した。尚、対照として結合認識部位を組み込まない空ベクターを導入し蛍光度を測定した。使用した食道癌細胞株は、TEシリーズ1〜15を用いた。食道の正常細胞株は市販されておらず、どの細胞と比較するかが今後の検討課題ではあるが、TCF4の活性が高いことが知られている大腸癌細胞株LoVoやDLD1と比較ではの50から130%程度の活性を示した。これにより食道癌細胞株でもTCF4の活性は高いことが予想された。またTCF4の下流遺伝子の検討では、cyclinD1遺伝子の発現は15種類の細胞すべてで高い発現が見られた。さらにTCF4の抗体を用いて行なった食道癌細胞株の免疫染色では13種類の細胞株でTCF4は強染色されており、また同時に行ったTCF4を活性化するとされるLEF1の免疫染色では約半数の細胞株で染色陽性であった。つまり、一部の食道癌細胞ではLEF1によってTCF4が活性化されている可能性があるが、そのほかの細胞ではその活性化のいまだ機序は不明である。 今後は1.大腸癌と同様にTCF4の活性を下げることによって、食道癌も細胞死を誘導できるかどうかの検討を行うために、dominant negativeTCFの作成および、アンチセンスオリゴを用いた実験。2.TCFあるいはLEF自身に遺伝子変異はないかどうかの検討をシークエンサーを用いて検索を行う
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