2004 Fiscal Year Annual Research Report
Acticon neosphincterを用いた新肛門再建の実験的検討
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14770655
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
松岡 弘芳 杏林大学, 医学部, 助手 (60301488)
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Keywords | 直腸癌 / 排便機能 / 新肛門 / 陰部神経 |
Research Abstract |
【目的】Acticon neosphincterを用いた直腸切断術後新肛門再建の実験的検討の一環として直腸癌手術症例に陰部神経伝導速度検査等の生理機能検査を行い、排便機能と併せた評価を施行。満足度判定困難な動物における新肛門再建時の客観的指標を作成することを目的とした。 【対象・方法】2002年4月より直腸癌及びS状結腸癌にて肛門括約筋温存手術を施行された23例を対象とした。術後1日4回以上の排便、不完全排便、あるいは排便困難のあるものを排便障害と定義し、臨床症状、患者質問票、直腸肛門内圧検査、陰部神経伝導速度検査を術前と術後早期(術後3〜6ヶ月)に施行した。直腸肛門内圧検査はwater perfusion catheterによるstation pull through techniqueにて行った。陰部神経伝導速度検査はDantec社製Nicolet Viking IVを用い、使用電極はフィンガーマウントタイプのSt.Marks' pudendal electrodeを用い経肛門的に計測を行った。流入電流を5-8mAに設定し括約筋反射の出現、伝導速度測定を行った。 【結果】排便障害例は11例、非障害例は12例であった。術前の患者年齢、性別、腫瘍病期などの背景因子に関しては両群とも有意差を認めなかった。排便障害例では術後の吻合部高は有意に低位であった(肛門縁より7cm以下)。直腸肛門内圧検査では、排便障害例では、直腸容量が術後、有意に減少し(116vs.63ml)、非排便障害例と比し有意に減少していた(63vs.131ml)。陰部神経伝導速度検査では、術前の神経反射陽性は全例で陽性であったが、術後排便障害例では反射が有意に消失していた(7/11例vs.0/10例)。反射消失した7例では吻合部低位のものが多かった。多変量解析の結果、低位吻合及び、陰部神経反射消失が術後排便障害の独立した危険因子であった。 【結語】肛門括約筋温存手術後排便障害例では、低位吻合及び、陰部神経反射消失が影響していた。陰部神経伝導速度検査は排便機能不満足群の客観的指標として有用な検査法で、動物における主観的評価の参考になりうることが示唆された。
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Research Products
(1 results)