2002 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌組織における血管新生因子受容体の発現とその臨床腫瘍学的意義に関する研究
Project/Area Number |
14770656
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
杉浦 功一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00327537)
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Keywords | 血管新生 / VEGF / FGF |
Research Abstract |
1)臨床検体での解析 【方法】1990年から1993年まで採取された術前未治療食道癌切除標本のparaffin sectionを用いて,癌細胞におけるVEGFとその受容体であるFlt-1・KDR/Flk-1,aFGF・bFGFおよびその受容体であるFGFR-1の発現,組織内微小血管密度を,それぞれ免疫組織化学染色(LSAB法を採用)および検鏡にて測定した。食道癌組織における各リガンドおよびその受容体の発現と,食道癌の臨床腫瘍学的悪性度および生命予後との相関を解析した。 【結果】Flt-1が高発現であるほど腫瘍の深達度が大きかった。bFGFが高発現であるほど静脈侵襲陽性率が高かった。aFGFおよびFGFR-1が高発現であるほど腫瘍径積が大きかった。リンパ節転移,静脈侵襲,深達度,壁内転移といった腫瘍悪性度が予後と相関し,中でもリンパ節転移が予後と最も相関した。VEGF, Flt-1,KDR/Flk-1,aFGF, bFGF, FGFR-1の発現の有無は,予後と相関しなかった。aFGFの発現とFGFR-1の発現との間には,強い正の相関が見られた。 【考察】aFGFとそのレセプターであるFGFR-1が正の相関を持つことで,血管新生因子のautocrine機構により癌細胞が増生する可能性が示唆された。aFGFおよびFGFR-1発現陽性食道癌細胞株を用いて,autocrine機構の存在を検証する。 2)細胞株での解析 【方法】aFGFおよびFGFR-1発現陽性食道癌細胞株に対し,過剰にaFGFを作用させる。上清のaFGF濃度をELISA法にてモニタリングしつつ,FGFR-1の発現をwestern blot法にて測定する。
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