2002 Fiscal Year Annual Research Report
生化学的抗腫瘍剤アンチネオプラストンのDDNAメチル化におよぼす影響
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14770672
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
鳥越 昇二郎 久留米大学, 医学部, 助手 (40330831)
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Keywords | アンチネオプラストン / AS2-1 / DNAメチル化 / 細胞周期 / G1停止 / p16 |
Research Abstract |
(研究目的)アンチネオプラストンは、ヒトの尿中、血中に発見されたペプチドであり、抗腫瘍活性をもつことが知られている。しかし、本剤の抗腫瘍メカニズムについては、いまだ不明な点も多い。現在考えられている機序のなかでも今回、腫瘍細胞のmethylation statusの正常化による癌遺伝子の不活性化および癌抑制遺伝子の活性化を介する抗腫瘍効果に着目し、以下の研究結果を得た。 (研究実績の概要)方法;大腸癌細胞株(KM12SM,HCT116細胞)を用いて、アンチネオプラストンAS2-1の細胞増殖抑制効果と細胞周期に与える影響を検討した。さらにG1期調節因子であるRbリン酸化,p16蛋白の発現変化をウェスタンブロット法により検討した。結果;AS2-1は、KM12SM細胞(p53 mutant),HCT116細胞(p53 wild)に対し、濃度・時間依存性の細胞増殖抑制効果を呈した。FACSによる細胞周期の検討では、比較的低濃度よりAS2-1のG1細胞休止作用を認めた。ウェスタンブロット法の結果、p16蛋白の発現増強とRbリン酸化蛋白の減弱が認められた。考察;アンチネオプラストンAS2-1は、メチル化酵素の不活化を介して、p16プロモーターのmethylation statusの正常化→p16蛋白発現増強→Rbリン酸化の抑制→G1 arrest→細胞増殖抑制と作用することが示唆された。今後、ウェスタンブロット法にて検討した細胞株と時間・濃度を同様に設定し、Methylation Spacific PCRにてmethylation statusの変化を検討予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 的野敬子: "生化学的アンチネオプラストンが奏効した大腸癌切除不能多発肝転移の1例"臨床と研究. 80巻・2号. 373-376 (2003)
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[Publications] H.Tsuda: "A novel strategy for remission induction and maintenance in cancer therapy"ONCOLOGY REPORTS. 9. 65-68 (2002)
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[Publications] H.Tsuda: "The preventive effect of antineoplaston AS2-1 on HCC recurrence"ONCOLOGY REPORTS. 10. 391-397 (2003)