2003 Fiscal Year Annual Research Report
IGF-1による遅発性対麻痺予防に関する実験的研究
Project/Area Number |
14770695
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
中尾 佳永 関西医科大学, 医学部, 助手 (30340706)
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Keywords | 虚血性脊髄障害 / 対麻痺 / apoptosis |
Research Abstract |
(目的)IGF-1は,病的神経細胞死の予防に有効であることが示され,その作用は抗apoptosis作用を有する癌遺伝子Bcl-2を介して発現していることが示唆されている.脊髄虚血,再潅流後の運動神経細胞死に対するIGF-1の抑制効果について検討した.(方法)兎を吸入麻酔下に開腹し,腎動脈下腹部大動脈,分岐部,後腸間膜動脈の3ヶ所を15分間単純遮断で脊髄虚血とした.IGF-1は虚血開始30分前に静脈内投与した.15分間虚血のみを行ったC群(n=8),IGF-1を投与したG群(n=8),テーピングのみを行ったS群(n=5),IGF-1の0.3mg/kgと同等の血糖降下作用を有すると考えられるregular insulin0.3単位/kgを投与したN群(n=6)とした.再潅流後6,24,48時間後にmodified Tarlov scoreで神経学的に評価し,再潅流48時間後に脊髄を潅流固定後摘出,H&E染色を行い,脊髄前角神経細胞数を計測し,TUNEL法でapoptosis陽性細胞を検索し病理組織学的に評価した.免疫組織染色で脊髄前角細胞における抗apoptosis蛋白のBcl-xL,催apoptosis蛋白のBaxの発現を観察した.(結果)各群間の運動機能評価をMann-Whitney U検定で比較し,再潅流後全時間において,G群では有意に運動機能が保たれた.48時間後の脊髄前角細胞数は,C群で有意に減少した.TUNEL染色ではG群で有意に陽性細胞の出現を抑制した.免疫組織染色ではG群で脊髄前角細胞にBcl-xLの過剰発現,Baxの発現抑制を認めた.N群ではBaxの抑制が認められなかった.(考察)運動機能学的,組織学的に,IGF-1が虚血に対する保護効果が存在することが示唆された.IGf-1の虚血に対する脊髄保護効果にはBcl-xLの過剰発現とBaxの発現抑制が関与していると考えられた.
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