2002 Fiscal Year Annual Research Report
インターフェロンβ遺伝子と樹状細胞を用いた悪性脳腫瘍に対する免疫遺伝子治療の研究
Project/Area Number |
14770709
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中原 紀元 名古屋大学, 医学部, 助手 (20335061)
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Keywords | 遺伝子治療 / 免疫細胞療法 / 正電荷リポソーム / インターフェロンβ / グリオーマ / 樹状細胞 / T細胞 |
Research Abstract |
第1にC57BL6マウス大腿骨および脛骨から採取した骨髄細胞を用いた樹状細胞の誘導法を確立した。顆粒球単球コロニー刺激因子(GMCSF)とインターロイキン4(IL-4)の存在下に骨髄細胞を約1週間培養し、フローサイトメトリーによる細胞表面抗原の解析の結果、本法により効果的に樹状細胞が誘導されることが証明された。次に、このようにして誘導された樹状細胞と、同系マウスの脾臓より採取・分離されたT細胞とを同系マウスグリオーマ細胞株203G細胞と24穴プレート上で共培養するシステムを確立し、In vitroでの抗腫瘍免疫の誘導を観察した。インターフェロンβ遺伝子は、正電荷リポソームによりあらかじめグリオーマ細胞遺伝子導入されることにより、樹状細胞とT細胞の存在下で効果的に細胞性免疫を誘導することがインターフェロンγおよびIL-12に対するELISA assayおよびクロム放出法による細胞傷害性試験の結果証明することができた。引き続き実施された動物実験においては、203G細胞を用いた皮下腫瘍モデルを作成した後、インターフェロンβ遺伝子等で腫瘍を治療した後に骨髄から誘導された樹状細胞を腫瘍内へ移植するというプロトコール下に、経時的に腫瘍体積を測定することによって抗腫瘍効果を観察した。その結果、正電荷リポソームによりインターフェロンβ遣伝子と樹状細胞を腫瘍内投与した群で有意な腫瘍増殖抑制効果を認めた。これらの結果は、インターフェロンβ遺伝子治療と樹状細胞およびリンパ球等を用いた免疫細胞療法の併用療法が、悪性グリオーマに対する効果的な治療法になる可能性を示唆しており、今後脳腫瘍モデルに対するこの併用療法の治療効果の検討へと研究を展開してゆく予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakahara, Norimoto: "Effective induction of anti-glioma cytotoxic T cells by co-administration of interferon-β gene vector and dendritic cells"Cancer Gene Therapy. (In press). (2003)
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[Publications] Okamoto, Kenta: "Process of apoptosis induced by TNF-a in murine fibroblast Ltk-cells : continuous observation with video enhanced contrast microscopy"Apoptosis. 7. 77-86 (2002)
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[Publications] Yoshida, Jun: "Antitumor effect of an adeno-associated virus vector containing the human interferon-βgene experimental intracranial human glioma"Japanese Journal of Cancer Research. 93. 223-228 (2002)
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[Publications] 中原紀元: "最先端医療:遺伝子治療"Brain Nursing. 18. 45-51 (2002)
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[Publications] 中原紀元: "悪性グリオーマに対する遺伝子治療戦略-免疫遺伝子治療による"免疫学的特権部位"への挑戦と新しい展開-"医学のあゆみ. 203. 313-317 (2002)
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[Publications] 中原紀元: "脳神経外科臨床指針"橋本信夫 中外医学社. 729 (2002)