2003 Fiscal Year Annual Research Report
変形性関節症の関節破壊に対する遺伝子治療の開発―炎症性サイトカインと軟骨アポトーシスの制御―
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14770733
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 英雄 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70335363)
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Keywords | NFκB / 変形性関節症 / サイトカイン / 遺伝子治療 / 軟骨 / 核酸医薬 |
Research Abstract |
本研究は、近年の変形性関節症(OA)における関節破壊機序に関する基礎的研究成果を基に、整形外科領域で問題となる今までの治療法では対処できなかった関節破壊の進行を予防する遺伝子治療法の開発を行い臨床の場で実現させることを目的とし実施された。具体的には本研究期間中に以下の点が明らかにされた。 1)OAの動物実験モデルとして膝前十字靭帯切離(ACLT)ラットを用いたが、このモデルにおいて継時的に軟骨組織の変性とともに炎症性サイトカイン(IL-1,TNF)の発現が軟骨、関節滑膜でも上昇していた。 2)ACLTラットの関節軟骨、滑膜組織内では組織学的変性や炎症性サイトカインの増加と同調して転写因子であるNFκBの活性化が上昇していた。 3)ACLTラットのOA進行を抑制するためにNFκBの転写活性を抑制する核酸医薬(NFκBデコイ)を靱帯切離後週1回、8回連続で関節内注射すると、組織学的にその進行は抑制された。また、その効果は既にOAに対する治療薬として確立されているヒアルロン酸よりも優れていた。 4)3)において、関節内滑膜や軟骨組織内の炎症性サイトカイン(IL-1,TNF)の発現が核酸医薬の注射により抑制されていた。 5)一連の結果において、核酸医薬はウイルス等のベクターを用いずにnakedの核酸を関節内注射することで関節滑膜組織内の細胞に導入されNFκBの転写活性を抑制することが碓認された。実際の臨床応用の際にも濃度設定を適切に行えば同様の治療効果が期待できるものと考えられた。 当初予定していた抗体を用いてFas/Fasリガンド系から直接軟骨細胞のアポトーシスを抑制しOAの進行を予防する試みは、上記の炎症性サイトカインを直接抑制することが効率的に優れており、二次的に軟骨細胞のアポトーシスも抑制可能であることが判明したため、核酸医薬を用いた治療モデルを中心に研究を行った。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Hashimoto H, et al.: "NFκB decoy oligodeoxynucleotides suppressed the progression of osteoarthritis in rat"Arthritis Rheum. 48(9). S630 (2003)
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[Publications] Tomita T, Hashimoto H.et al.: "Gene therapy for arthritis"Current Drug Targets. 4. 609-612 (2003)
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[Publications] Moritomo H, Hashimoto H, et al.: "Spontaneous divergent elbow dislocation after Sauvc-Kapandji procedure."Clin Orthop.. 406. 97-102 (2003)
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[Publications] Masada K, Hashimoto H, et al.: "Radiographic changes after resection of the distal ulna in patients with rheumatoid arthritis."Scand J Plast Reconstr Surg Hand Surg. 36(5). 300-304 (2002)
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[Publications] Masada K, Hashimoto H, et al.: "Rupture of flexor tendons after arthrodesis of the basal joint of the thumb"Scand J Plast Reconstr Surg Hand Surg. 36(4). 243-244 (2002)