2003 Fiscal Year Annual Research Report
セロトニン作動性神経系がラット海馬シナプス伝達機構におよぼす影響について
Project/Area Number |
14770756
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小島 琢 北海道大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (80333615)
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Keywords | 海馬 / LTP / セロトニン |
Research Abstract |
前年度に引き続き、実験動物はハロタン麻酔下ラットを使用し,電気生理学的手法を用いて内因性セロトニンが海馬CA1,CA3野のシナプス伝達機構に及ぼす影響について追究した.内因性5-HT濃度を増加させるために選択的5-HT再取込み阻害薬(SSRI)の一つであるfluvoxamineを使用し、海馬長期増強(long-term potentiation ; LTP)の変化を検討した.CA1領域ではfluvoxamineによりLTP生成は抑制された.一方,CA3領域のLTPはfluvoxamine投与により影響を受けなかった.CA1におけるfluvoxamineによるLTP抑制作用は,5-HT_<1A>受容体拮抗薬NAN190により有意に拮抗された.しかしながら,5-HT_4拮抗薬GR113808および5-HT_7受容体拮抗薬DR4004による影響は認められなかった.すなわち,CA1領域における内因性5-HTのシナプス可塑性抑制には,シナプス伝達機構を調節している3つの5-HT受容体の中で5-HT_<1A>受容体が関与していることが示された.これらの結果は5-HT_<1A>受容体作動薬tandospiroe投与によりCA1領域ではLTPは形成されなかった事実によって確かめられた. 以上の結果から,fluvoxamineによるCA1,CA3領域のシナプス伝達効率促進作用には少なくとも3つの5-HT受容体-5-HT_<1A>,5-HT_7あるいは5-HT_4受容体が関与していること,また,これらの受容体による調節機構はCA1,CA3領域で異なっていることが明らかになった.
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