2002 Fiscal Year Annual Research Report
α_2アゴニスト(ミバゼロール)と低体温併用による脳保護に関する研究
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14770758
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐藤 正義 秋田大学, 医学部, 助手 (90333939)
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Keywords | ミバゼロール / 低体温 / 脳虚血 |
Research Abstract |
背景:α2アゴニストには脳虚血に対する保護効果が認められている。ミバゼロールは心筋虚血に対する保護効果に関しての報告はあるが、脳保護効果についての報告は見当たらない。一方、低体温の脳保護効果は広く認められている。我々はラット-過性前脳虚血モデルを用い、ミバゼロール単独およびミバゼロール-低体温の併用療法の脳保護効果を神経学的、組織学的に検討した。 方法:ハロタン麻酔、調節呼吸下の雄SDラット16匹(各群n=4)を対象とした。尾動脈(血圧測定、採血用)、右内頚静脈(薬物投与、脱血用)にカテーテルを留置した。頭皮に脳波電極、側頭筋に体温プローベを挿入した。ラットを対照(側頭筋温37.5℃)群、ミバゼロール20μg/kg(37.5℃),群、低体温(35℃)群、ミバゼロール20μg/kg+低体温(35℃)群に分け、虚血30分前に生食あるいは薬物を皮下注した。脱血による低血圧(収縮期血圧45-50mmHg)と両側頚動脈閉塞により前脳虚血状態とし、10分後に両側頚動脈閉塞解除と返血により再灌流をおこなった。復温は再灌流直後から開始し、ラットを麻酔から覚醒させた。虚血24時間、48時間、1週間後に神経学的評価(0点:正常-100点:脳死)を行った。脳を灌流固定後、HE染色を行い海馬、大脳皮質、尾状核・被殼の組織学的評価(0点:最重症-16点:最軽症)をおこなった。 結果:組織学的スコアにおいて、対照群(中央値=7)が低体温群(9)およびミバゼロール+低体温群(9)に比し有意に低値であった。対照群とミバゼロール群の間には有意差はなかった。神経学的スコアでは群間に有意差は認められなかった。 結論:ミバゼロール20μg/kg投与には脳保護効果は認められなかった。35℃の低体温に脳保護効果が認められたが、ミバゼロール20μg/kgの併用による脳保護効果の増強は認められなかった。
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