2004 Fiscal Year Annual Research Report
ホールセルパッチクランプ法を用いたキセノン麻酔の電気生理学的解析
Project/Area Number |
14770759
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
須藤 亮 群馬大学, 医学部, 助手 (80312875)
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Keywords | キセノン / パッチクランプ / グルタミン酸受容体 / NMDA / AMPA |
Research Abstract |
グルタミン酸受容体は中枢神経系の主要な興奮性シナプス伝達を担う受容体であるばかりでなく,脳虚血,低酸素脳症,ニューロパシックペインとも密接なつながりがあることが知られている.この受容体の中で,シナプス後膜に発現しているAMPA受容体及びNMDA受容体のサブユニットをコードするcDNAを組み込んだアデノウイルスベクターを作製し,ラット褐色細胞腫由来の細胞株であるPC12細胞に感染させることにより機能的受容体を発現させ,ホールセルパッチクランプ法により麻酔作用を持つキセノンがAMPA受容体及びNMDA受容体にどのような効果を及ぼしているか,電気生理学的に解析を行った. AMPA受容体に対する効果は,初年度までの検討で,キセノン投与が同受容体に影響を与えないことを確認した.さらにNMDA受容体においては,同受容体のサブユニットであるNR1とNR2Bを共発現させた細胞において,キセノンはNMDA受容体応答を70%抑制することが判明した.以上の結果より,キセノンのグルタミン酸受容体に対する効果はAMPA受容体とNMDA受容体との間に大きな解離があり,さらにNMDA受容体への効果が臨床使用濃度のキセノンで大きく抑制されたことから,キセノン麻酔の効果部位の候補としてNMDA受容体は重要であると考えられた.それではこのNMDA受容体のどこにキセノンが作用しているのか.平成15年度は,このNMDA受容体サブユニットのマグネシウムブロックの効果部位であるQRN siteに点変異導入した変異型NMDA受容体を発現させ,キセノンの効果を確認した.同部位は,静脈麻酔薬の一種ケタミンの効果部位としても知られている.その結果,変異型NMDA受容体ではキセノンはその受容体応答を12%抑制することが判明した.平成16年度はキセノンのNMDA受容体への作用の容量依存性を確定した.
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