2002 Fiscal Year Annual Research Report
膜電位測定による麻酔薬の微小循環血管拡張作用の細胞内レベルでの機序解明
Project/Area Number |
14770762
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
永川 保 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (90237503)
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Keywords | 微小循環 / 血管平滑筋 / 静止膜電位 / プロポフォール / NO-cGMP系 / PGI_2-cAMP系 |
Research Abstract |
本研究は、抵抗および容量血管である腸間膜動・静脈を用い、静脈麻酔薬(プロポフォール)がいかなる機序で微小循環系の血管平滑筋を弛緩させるのかを、NO-cGMP系に特異的な阻害薬(L-NAME、ODQ、cGMPS)およびPGI_2-cAMP系に特異的な阻害薬(SQ22536、Rp-cAMPS)を用い、in situで血管平滑筋静止膜電位を測定することにより明らかにする。ペントバルビタール基礎麻酔下に、雄SDラットの大腿動・静脈にカニュレーションした(動脈圧測定および静脈路確保)。呼気ガスをモニターし、ベンチレーターにて呼気炭酸ガス濃度が一定となるように人工呼吸した。開腹後、実体顕微鏡下に腸間膜動・静脈を剥離した。実験チャンバー上に剥離した腸間膜動・静脈を固定し、PSS(physiological salt solution)を血管外から灌流した。ガラス管微小電極を動・静脈壁に刺入し、微小電極増幅器を用いて静止膜電位を測定、記録した。プロポフォールを大腿静脈内へ持続注入し、NO-cGMP系に特異的な阻害薬であるL-NAME、ODQ、cGMPSまたはPGI_2-cAMP系に特異的な阻害薬であるSQ22536、Rp-cAMPSのいずれかを血管外から適用し、その後静止膜電位を測定した。NO-cGMP系阻害薬およびPGI_2-cAMP系阻害薬はいずれも静止膜電位を有意に脱分極させた。プロポフォールは静止膜電位を有意に過分極させた。このプロポフォールによる過分極をNO-cGMP系阻害薬は有意に抑制したが、PGI_2-cAMP系阻害薬は抑制しなかった。これらの結果から、プロポフォールによる血管平滑筋静止膜電位の過分極および血管拡張作用にNO-cGMP系が関与するが、PGI_2-cAMP系は関与しないことが示唆された。
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