2002 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸受容体を介した脳血流調節における麻酔薬と脳低温の影響
Project/Area Number |
14770766
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大畠 博人 岐阜大学, 医学部, 助手 (60311700)
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Keywords | グルタミン酸受容体 / NMDA受容体 / AMPA受容体 / 脳微小循環 / 一酸化窒素(NO) |
Research Abstract |
グルタミン酸受容体作動薬のNMDAおよびAMPAの脳血管に及ぼす影響を検討した。ハロセン麻酔下のラットを人工呼吸により二酸化炭素分圧を35〜40mmHgになるように管理し、頭部に脳軟膜血管を観察するための有窓(Cranial window)を作製した。体温は小動物用体温保持装置を用いて、直腸温が36.5〜37.5℃で保たれるように管理した。 100μMのNMDAおよびAMPAを5分間有窓内に投与を行い、連続的に脳血管径を観察した。NMDAおよびAMPAの投与は、ラットの呼吸・循環動態に影響を及ぼさなかった。NMDAおよびAMPAはいずれも脳血管拡張反応を示し、同濃度における血管拡張反応はNMDAの方が大きい傾向を示した。またNMDAの方がAMPAよりも早期に最大の拡張反応を示したが、その拡張作用はNMDAが急速に減弱するのに対し、AMPAの方はしばらく継続することが観察された。さらにこの拡張反応における一酸化窒素(NO)の関与を検討したところ、1mMのL-NNAの前投与によりNMDAでは血管拡張反応の減弱を認めたが、AMPAでは拡張反応に変化を認めなかった。 以上のことから本年度の研究において、吸入麻酔薬による全身麻酔時にグルタミン酸受容体作動薬のNMDAおよびAMPAは脳血管拡張反応を示すことが観察された。また、同じイオン型グルタミン酸受容体の中でも、NMDA受容体とAMPA受容体という違いによって、脳血管拡張の反応様式およびメカニズムに差異が見られることが解った。
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