2003 Fiscal Year Annual Research Report
GGAによるストレスタンパク誘導がATP感受性Kチャネルに及ぼす影響
Project/Area Number |
14770775
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
野崎 淳平 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (00304527)
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Keywords | Garanylgeranylacetone / 心筋保護作用 / 虚血再灌流障害 / ストレスタンパク / セルベックス / K_<ATP>チャネル / パッチクランプ法 / HSP |
Research Abstract |
近年,GGAが心筋保護作用を有することが明らかにされた。先行虚血は心筋保護作用を持つが,その機序にK_<ATP>チャネルが推定されている。平成15年度は2,4dinitrophenol (DNP,ミトコンドリアでのATP合成阻害剤)で作成した心筋虚血モデルにおいてGGAにより誘導されたストレスタンパクがK_<ATP>チャネル活性に及ぼす影響をK_<ATP>チャネル(心筋型:Kir6.2/SUR2A)を細胞膜に発現させた培養Cos7細胞およびラット大動脈培養平滑筋細胞(A-10 cell)を用いてパッチクランプ法(cell-attached法)により検討した。 方法 GGA 1μM(GGA群)または溶媒(溶媒群)を各細胞に2時間インキュベート後パッチクランプを行った。また時間コントロールとしてなにも投与しない群(control群)を加えた。チャネルのコンダクタンスおよびpinacidilとglibenclamideに対する感受性からK_<ATP>チャネル電流を確認し,baselineの開口率を5分間測定した。その後DNP10μMを5分間灌流し心筋虚血時のK_<ATP>チャネルの開口率を測定した。DNPをwash out後,K_<ATP>チャネル開口薬pinacidil 100μMを投与しK_<ATP>チャネルを完全に開口させた。このときの開口率を100%とし,baselineおよびDNP灌流時の開口率を標準化してそれぞれのrelative channel activitiesを算出した。これらから,baselineを0としたときのDNP灌流時のrelative channel activitiesを評価した。データは平均値±標準偏差で示した。統計はANOVAおよびsheffe's testで行い,p<0.05を有意差ありとした。 結果 (1)培養Cos7細胞 baselineを0としたときの心筋虚血時のrelative channel activitiesは,control群(n=11)の21.5±3.5 %に対して,溶媒群(n=5)は20.1±4.4%,GGA群(n=7)は24.4±5.9 %で,3群に有意差はなかった。 (2)培養平滑筋細胞 同様にbaselineを0としたときの心筋虚血時のrelative channel activitiesは,control群(n=8)の49.5±12.3 %に対して,溶媒群(n=7)は50.3±6.4%GGA群(n=7)は52.6±16.4 %で,3群に有意差はなかった。 結論 DNPで作成した心筋虚血モデルにおいてGGAによるストレスタンパク誘導は心筋および平滑筋細胞膜K_<ATP>チャネル活性に影響を及ぼさないことがわかった。この結果からGGAにより誘導されたストレスタンパクによる心筋保護作用は心筋細胞膜K_<ATP>チャネルの活性化を介さないことが示唆された。
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