2003 Fiscal Year Annual Research Report
揮発性麻酔薬の臓器血管特異作用におけるNa^+-K^+ATPaseの役割に関する研究
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14770787
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
箕西 利之 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (40336897)
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Keywords | イヌ腸間膜動脈 / ハロタン / Na^+-K^+ATPase |
Research Abstract |
平成15年度は、^<86>Rb負荷で負荷した標本でNa^+-K^+ATPase活性を測定することにより、麻酔薬のNa^+-K^+ATPase活性に与える影響を解明しようとした。さらに、昨年度の結果と合わせ総合的に解析し、腸間膜動脈と脳動脈における麻酔薬作用のNa^+-K^+ATPase活性抑制作用が、全身麻酔中の臓器血流分布異常の原因となっていることを明らかにしようとした。 方法 内皮を除去したイヌ腸間膜動脈および脳動脈標本をHEPESでpHを7.4に調整したPSS溶液中に浸し1時間incubateする。ouabain (10^<-3>M)存在および非存在下で、標本を5分間^<86>rubidium (Rb,20μCi/ml)に暴露し、^<86>Rbを取り込ませる。次に、標本を冷却したPSS溶液中で3回洗浄することにより^<86>Rbの取り込みを停止させる。シンチレーションカウンターで測定された^<86>Rb取り込み量の内、ouabainに感受性のある部分が、Na^+-K^+ATPase活性の指標となる。上記の実験をハロタン、イソフルラン、セボフルラン存在下で行い、腸間膜動脈および脳動脈Na^+-K^+ATPase活性に及ぼす麻酔薬作用の違いを明らかにする。 結果 腸間膜動脈において、ouabain存在および非存在下で取り込み量に違いが見られた。これは、ハロタンの腸間膜動脈への作用は血管平滑筋Na^+-K^+ATPase活性への作用が原因であるという作業仮説を裏付けると考えられる。また、ハロタン>イソフルラン、セボフルランといった傾向が見られた。脳動脈は標本の作成が難しく研究が遅れているが、Na^+-K^+ATPase活性抑制作用が、全身麻酔中の臓器血流分布異常の原因となっていることを裏付ける結果が一部でている。
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[Publications] Shizue Iwahashi., Toshiyuki Minonishi., et al.: "The Involvement of Cytochrome P450 Subtype 2E1 Enzyme in the Inhibitory Effect of Sevoflurane on Acetylcholine-Induced Endothelium Dependent Vasorelaxation of Rat Aorta"Anesthesiology. 96. A642 (2002)
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[Publications] Toshiyuki minonishi., Yoshio Hatano., et al.: "A Comparison of Relaxation Induced by Olprinone, a Phosphodiesterase III Inhibitor, In Isolated Rabbit Carotid and Renal Arteries."Anesthesiology. 99. A641 (2003)