2002 Fiscal Year Annual Research Report
敗血症性腸管壁防御機構破綻に対する硬膜外麻酔の効果
Project/Area Number |
14770790
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小杉 志都子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00317249)
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Keywords | 硬膜外麻酔 / 敗血症 / 腸管壁防御機構 / bacterial translocation |
Research Abstract |
敗血症では、微小循環障害により腸管粘膜は虚血に陥り易く、続発する腸管壁防御機構の破綻はbacterial translocationを惹起するため、腸管粘膜傷害の予防は敗血症治療のひとつのゴールとなる。今回、硬膜外麻酔が「敗血症における腸管壁防御機構の破綻を軽減する」との仮説をたて、ウサギ内毒素血症モデルにおいて内毒素惹起性腸管粘膜の機能的組織学的障害に及ぼす硬膜外麻酔の保護的効果を検討した。2年計画の初年度である14年度には、低血圧を伴わないウサギ内毒素血症と胸部硬膜外カテーテル留置モデルを確立した後、本実験を開始した。まず無作為にリドカイン群と生食群に分けて硬膜外持続投与を開始後、内毒素持続静注(LPS:15mcg/kg/hr)を行い、血行動態ならびに腸管粘膜内pH(pHi)、蛍光色素標識デキストラン法により腸管壁透過性を経時的に評価した。これまでの結果では、LPS投与4時間後の動脈血pHは両群間に差はなく、平均動脈圧がリドカイン群で低いが門脈血流は両群間とも保たれた。一方、pHiはリドカイン群で平均7.32と生食群の平均7.20に比べ有意に高く、腸管壁透過性亢進はリドカイン群で低い傾向にあった。したがって、本年度の結果から、「硬膜外麻酔は毒素血症惹起性腸管壁透過性亢進を抑える傾向がある」ことを見出し、その中間結果を15年5月の米国胸部疾患学会(シアトル)で発表予定である。次年度には、さらに十分な標本数を増やしながら、併せて機序解明のひとつとして血管内皮障害の指標である血中トロンボモジュリンの経時的評価や採取している回腸切片標本を用いて組織学的傷害度をスコアリングする予定である。
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