2004 Fiscal Year Annual Research Report
小児手術後の心的外傷の有無及び麻酔手技との関連についてのアンケート調査
Project/Area Number |
14770793
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
赤井 良太 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (40297362)
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Keywords | 小児手術麻酔 / PTSD / ストレス反応 |
Research Abstract |
麻酔は麻酔法やモニターの進歩により安全性が確立された現在、その質が問われる時代となった。しかし小児にとって手術麻酔は依然ストレスフルなままと考えられ、それを反映する術後の行動障害はその発生率において30年前となんら変わっていない。一方PTSDは、元来戦闘体験などの強いストレスにより発症するものとされてきたが、近年発症年齢及びストレス因子の強さを広げる向きがあり、医療行為による小児のPTSDも報告されている。そこで、小児にとって手術麻酔がPTSDのような長期に亘るストレス反応を生ずるかどうか、生ずるとしたらpredictorとなるものは何かを調査することとした。 【対象方法】年齢2〜12歳、入院期間1週間以内の全麻手術300症例。方法は、術後アンケートによりストレス反応で認める諸症状の有無を問い、ロジスティック回帰分析にてpredictorを探すもの。アンケートは手術後1,6,12ヶ月の計3回、郵送によって施行。9歳未満は親、9歳以上は患児より回答を得る。内容は、PTSDの先行研究のものを本調査に適合するよう改変したもので18項目の質問より構成される。ロジスティック回帰分析における従属変数はストレス反応症状の有無、独立変数は、1.年齢2.兄弟の有無3.入院中の親付き添いの有無4.術前不安5.術後痛6.鎮痛薬使用回数7.手術回数とした。 【結果及び結論】術前不安高かった児は、低かった児に比べ1ヶ月時点で5.1倍、6ゲ月時点で4.8倍ストレス反応発症リスクが有意に高かった。ただし、このような児は気質として不安度が高い可能性があり常にストレスを受けやすい。よって一概に、強い術前不安→ストレス発症(原因→結果)とは言えず様々な他因子の影響も考えられる。また、本調査では1年後にはストレス反応は殆ど認めなくなり、認めたストレス反応についてはPTSDのような日常生活に影響を及ぼすものはなかった。
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