2002 Fiscal Year Annual Research Report
ボンベシンの前立腺癌におけるG蛋白質結合受容体(GPCRs)活性化の機序の検討
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14770827
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
菅谷 真吾 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (50312020)
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Keywords | 前立腺癌 / ボンベシン / 運動能 |
Research Abstract |
【背景】本研究のうち、平成14年度はボンベシン(あるいは類似した構造と機能の蛋白質であるGRP : gastrin-releasing peptide、以下合わせてBOMB/GPR)のアンドロゲン非依存性前立腺癌細胞株に対する効果を検討する計画であった。とくにin vitroでの効果に注目した。また、BOMB/GPRの刺激による上皮増殖因子受容体(EGFR)の反応を検討した。 【方法】PC-3,DU145を用いて培地中のBOMB/GPRの濃度による増殖能(MMT法、BrDU法)、遊走・浸潤(double chamber法、傷つけ実験)を検討した。さらにBOMB/GPRの刺激に伴うEGFRの活性化をimmunoprecipitations and western blotting法により確認した。 【結果】増殖能はBOMB/GPRの濃度依存性に亢進した。遊走・浸潤能は遊走細胞数とBOMB/GPR濃度の間でBOMB/GPR 50nMをピークとするベル型の曲線を描いた。BOMB/GPRの刺激によりEGFRが活性化することが明らかとなった。 【考察】アンドロゲン非依存性前立腺癌細胞株の遊走・浸潤能におけるBOMB/GPRの効果には最大効果を与える適切な濃度が存在する。培地中に加えたBOMB/GPRと受容体の結合およびその下流のシグナル伝達、あるいは細胞の骨格蛋白の変形や周囲の基質の分解に対する効果が遊走・浸潤能の濃度を規定すると思われる。そしてこの過程、あるいは付随する効果としてEGFR活性化が引き起こされると考えられた。 【平成15年度】アンドロゲン依存性前立腺癌細胞株における効果の検討、アンドロゲン感受性とBOMB/GPRの効果やEGFRへの相関、BOMB/GPRの刺激と遊走・浸潤能を規定する諸因子に注目して検討する方針である。
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