2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14770883
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中澤 健 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (10312943)
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Keywords | 聴覚中枢 / 時間発火パターン / 下丘 |
Research Abstract |
音の時系列情報がどのような動的時間発火パターンとして神経符号化されるかを解明するため、無麻酔除脳ネコ下丘中心核における複合音刺激に対する電場電位応答波形の記録・解析を行った。振幅変調音、周波数変調音、擬似周波数変調音、振幅変調雑音、2純音合成音の複合音刺激に対して、いずれも定常的な振動応答が生じ、その周波数は刺激音の振動周波数もしくは2純音成分の差分周波数に一致した。振幅エンベロープ構造を持たない周波数変調音に対しても振動応答が生じたことより、この振動応答は、単なる音波形の振幅エンベロープ周期に限らず、広義の意味における音波形の時間的周期性に対する符号化であると解釈された。また、複合音を構成する各周波数成分からなる純音刺激および振動周波数に一致した周波数の純音刺激に対しては、振動応答が生じなかった。そのため、この振動現象は、聴覚中枢の神経集団における非線形過程によって生成されたものであると考えられた。さらに、調和および非調和成分からなる振幅変調音刺激に対して、どちらも同様の振動応答が生じ、その周波数はそれぞれ刺激音の振動周波数に一致した。従って、調和成分からなる複合音刺激に対する振動応答の周波数は、その複合音刺激に対する心理応答であるピッチ知覚におけるmissing fundamental周波数に一致するが、非調和成分からなる複合音刺激の場合は、振動応答の周波数はmissing fundamental周波数と解離することがわかった。ピッチ知覚の神経符号化メカニズムに関しては、さらなる音符号化機構の解明が不可欠であることが示唆された。
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