2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14770936
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
宮嶋 義巳 久留米大学, 医学部, 講師 (60289486)
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Keywords | 下咽頭癌 / PDGF / VEGF |
Research Abstract |
癌細胞の増殖浸潤能と転移能の鍵を握るのが血管新生である。頭頸部癌の中でも悪性度が高いと言われる下咽頭癌組織を用いて血管再生の制御にかかわる因子について検討を行った。手術的に摘出した下咽頭癌組織を用いて、血管新生促進因子であるPD-ECGF/dThdPase(platelet-derived endthelial growth factor/thymidine phosphorylase)とVEGF(vascular endthelial growth factor)の発現をについて免疫組織科学的に検討を行った。PD-ECGFは癌細胞の細胞質を中心に発現が認められた。下咽頭癌の68%の症例の組織でPD-ECGFの発現を認めたが、臨床的な因子との相関は認められなかった。VEGFは癌細胞の細胞質および核に発現を認めた。下咽頭癌の70%の症例の組織でVEGFの発現を認めた。VEGF陽性例での死亡例を多く認めた。 癌細胞は、血管新生によって構築された新生血管網を利用して、増殖に必要な栄養の補給、排泄と遠隔臓器への転移を行っている。このことは、癌の増悪因子である増殖能と転移能を血管新生に依存していることを意味する。血管新生促進因子の中でVEGFの特徴は血管内皮細胞の増殖を特異的に促進することである。VEGF陽性例で死亡例が多く、癌細胞が血管新生を促すことに上り、浸潤能を活性化し、予後を悪くしていると考える。血管新生を抑制するとされているTSP-1、IL12、TIMP-1等のそれぞれの因子の組織における役割を調べることにより癌細胞と血管の関係を明らかにし、さらに癌細胞の増殖浸潤を制御について検討が必要と考える。
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