2003 Fiscal Year Annual Research Report
杆体一色型色覚におけるCNGA3およびCNGB3遺伝子の解析
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14770953
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
小田 早苗 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (90335175)
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Keywords | 錐体カチオンチャネル / CNGA3 / CNGB3 / 杵体一色型色覚 |
Research Abstract |
錐体カチオンチャネルはα鎖とβ鎖とから成るヘテロ4量体であり、いずれかの先天的異常により色覚欠損(杵体一色型色覚)を生ずる。 今年度は、杵体一色型色覚において見出されている変異を導入したα鎖およびβ鎖について膜電流の測定を行い、これらの変異が機能に及ぼす影響を解析した。 これまで報告されているα鎖の遺伝子(CNGA3)の変異は39個である。それぞれの変異を導入したα鎖単独およびwild typeのβ鎖とのキメラについてパッチクランプ法を用いて膜電流を測定した。その結果cGMPに対する感受性が高くなっているものや低くなっているもの、また、電流がまったく記録されないものなど様々あることが判明した。 これらの中でα鎖のcGMP結合部位の変異であるT565MおよびE593Kについてさらに詳しく解析をおこなった。1/2有効cGMP濃度(K_<1/2>)が、wild typeのα鎖単独では9.0μMであったのに対し、T565Mの変異を導入したものでは160μMとcGMPに対する感受性がかなり低くなっていた。一方、E593Kの変異を導入したものでは3μMとcGMPに対する感受性が高くなっていた。 また、α鎖とβ鎖とのキメラではK_<1/2>は15.0μMであり、α鎖単独よりもcGMPに対する感受性が低くなっていた、E593KおよびT565Mを導入したα鎖とβ鎖とのキメラでも同じ傾向が見られた。 これらのことから、T565Mの変異をもつα鎖を含むチャネルは錐体内cGMPの増減に関わらず閉じたままであること、一方、E593Kの変異を持つα鎖を含むチャネルは錐体内cGMPの増減に関わらず開いたままであることが推定され、杵体一色型色覚における錐体カチオンチャネルの機能不全の機序として少なくとも2種あるらしいことが分った。また、正常β鎖の機能の一つとしてチャネルのcGMPに対する感受性を下げることが判明した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Oda S, Ueyama H, Nishida Y, Tanabe S, Yamade S: "Analysis of L-cone/M-cone visual pigment gene arrays in females by long-range PCR"Vision Research. 43. 489-495 (2003)
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[Publications] Ueyama H, Li Y-H, Fu G-L, Lertrit P, Atchaneeyasakul L, Oda S, Tanabe S, Nishida Y, Yamade S, Ohkubo I: "An A-71C substitution in a green gene at the second position in the red/green visual-pigment gene array is associated with deutan color-vision deficiency"Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America. 100(6). 3357-3362 (2003)
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[Publications] Okada A, Ueyama H, Toyoda F, Oda S, Ding W-G, Tanabe S, Yamade S, Matsuura H, Ohkubo I, Kani K: "Functional role of the hCNGB3 in regulation of human cone CNG channel : effect of rod monochromacy-associated mutations in hCNGB3 on channel function"Investigative Ophthalmology and Visual Science. (In press). (2004)