2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14770979
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
林 孝彰 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10297418)
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Keywords | 先天色覚異常 / 遺伝子診断 / 保因者診断 / 赤・緑視物質遺伝子 / X連鎖劣性遺伝 |
Research Abstract |
目的:本研究は、日本人先天赤緑異常(遺伝形式はX連鎖劣性遺伝)およびその保因者の遺伝子診断法を確立し、心理物理学検査と遺伝子型の関連性を見つけ出すことを目的としている。方法:まず当科専門外来で、仮性同色表、Panel-D15、アノマロスコープで先天赤緑異常と診断された男子と絶対保因者となるその母親を抽出した。研究は、先天色覚異常の遺伝子解析をテーマに学内倫理委員会で承認された計画書に基づき行われた。インフォームド・コンセントが得られたものから末梢静脈血を採取し白血球分離後、高分子ゲノムDNAを抽出した。発端者である第1異常5例とその母親、第2異常3例とその母親に対し、Long-range PCR法および直接塩基配列決定法により遺伝子型を決定した。結果:第1異常の発端者全例で正常赤視物質遺伝子が緑視物質遺伝子に類似した赤緑融合遺伝子に置き換わっていた。絶対保因者においても、Long-range PCR法により赤緑融合遺伝子を検出した。一方、第1異常で検出されなかった正常赤視物質遺伝子は、絶対保因者では検出された。第2異常の発端者2例で正常赤視物質遺伝子に加え赤視物質遺伝子に類似した緑赤融合遺伝子の存在が確認された。その1例で正常緑視物質遺伝子も存在していた。残りの1例では、正常赤視物質遺伝子のみが認められ、正常緑遺伝子や緑赤融合遺伝子は、検出されなかった。第2異常の保因者では、存在する視物質遺伝子の数が多く遺伝子型の決定には至らなかった。考按:本法によって、第1異常とその保因者は100%検出可能であることが示唆された。一方、第2異常の遺伝子配列決定は可能であったが、遺伝子種類の複雑性から保因者の遺伝子型決定には、最末端の視物質遺伝子の同定が不可欠と考えられた。今後、第2異常においては、Long-range PCR法を改良し、遺伝子解析による保因者診断の確立を目指していきたい。
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Research Products
(1 results)