2002 Fiscal Year Annual Research Report
ラット下肢同種移植に於ける急性期拒絶反応メカニズムの研究
Project/Area Number |
14770989
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
齋藤 ちひろ 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (00332502)
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Keywords | ラット下肢同種移植 / ホルマリン固定標本 / HE染色所見 / 皮膚軟部組織 / 硬組織 / 大脳海馬 / 脾臓 / ストレス応答 |
Research Abstract |
平成15年3月現在で、ホルマリン固定標本完成。従来の浸漬固定では特に硬組織固定に長時間を要するため、全身灌流固定後48時間後固定を行っている。HE染色スライドによるサンプル検討では、既知の定型的移植拒絶反応が再現され、サンプル作成に関しては問題無いものと判断される。具体的には、同種移植グループに於いて、術後3日目には皮下組織の浮腫および炎症細胞浸潤が認められ、術後7日目には細血管炎および皮膚付属器の消失が、術後12日目には炎症細胞浸潤が筋組織にも及び、術後18日目には皮膚壊死が認められる。硬組織に於いては顕著な所見は認めないが、関節周囲器官には皮膚軟部組織と同様に広範な炎症細胞浸潤を認める。 なお、全身灌流固定採用と同時に、採取サンプルを従来のgraftに限ったもの(皮膚軟部組織および硬組織)ではなく、recipient sideの移植に於ける急性期反応を検討する目的で、大脳・脾臓も採取している。脾臓は同種移植拒絶反応に於ける主役となるリンパ球の一大集積拠点であり、詳しく検討を加える事により有意義な知見が得られるものと期待している。また、大脳海馬は、全身の種々のストレス応答が顕著に出現する部位として神経科学研究に於いても注目されており、同種移植に於いても何らかのストレス応答が認められるものと推測される。 本年4月以降は、HSP60およびHSP72を用いた急性期拒絶反応に於ける全身的・局所的ストレス応答の検索、さらには種々のapoptosis関連蛋白を用いた本実験モデルに於ける移植拒絶反応とapoptosisの関連を検索する予定である。
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