2002 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子p27^<Kip1>よる口腔癌遺伝子治療の可能性に関する研究
Project/Area Number |
14771003
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐藤 淳 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (70335660)
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Keywords | p27^<Kip1> / 口腔癌 / 遺伝子治療 / 細胞周期 |
Research Abstract |
1.ヒト口腔扁平上皮癌細胞6株(HSC2,HSC3,HSC4,Ca 9-22,HO-1-N-1,HO-1-u-1)でのp27^<Kip1>蛋白発現をWestern blotにより検索した。6株中4株(HSC2,HSC3,HO-1-N-1,HO-1-u-1)で低い発現を示していた。発現低下の4株ではプロテアソーム阻害剤投与でp27^<Kip1>蛋白の発現増加がみられ、発現低下にはユビキチン-プロテアソーム経路での蛋白分解の関与が示唆された。2.p27^<Kip1>蛋白発現低下のみられたHSC-2,HSC-3細胞株に発現調節ベクターを用いて、野生型p27^<Kip1>遺伝子導入を試みた。p27^<Kip1>蛋白のユビキチン化には、187番目のスレオニン残基のリン酸化が必要なことから、プロテアソームによる異常分解を受けにくい187番目のスレオニン残基をアラニンに変換させた変異型p27^<Kip1>も導入し、その効果について比較した。得られた導入株のうち、HSC2では、野生型を発現するもの2種類と変異型を発現するもの1種類、HSC3では野生型、変異型1種類ずつの導入株を実験に用いた。3.発現誘導後のp27^<Kip1>蛋白発現をWestern blotにより検索した。HSC2、HSC3ともに高い野生型および変異型p27^<Kip1>蛋白の発現の誘導がみられた。遺伝子導入による増殖への影響を検索すると、野生型、変異型ともにコントロールに比較して細胞増殖が抑制されていた。細胞周期の変化についても検索すると、野生型、変異型ともにG1期の細胞が増加していた。アポトーシス誘導も併せて検索したが、野生型、変異型ともにアポトーシスの誘導は観察されなかった。その効果も野生型より変異型p27^<Kip1>導入株の方が高かった。以上より野生型ならびに変異型p27^<Kip1>遺伝子導入による遺伝子治療への応用への可能性が示唆された。
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