2003 Fiscal Year Annual Research Report
歯原性上皮マーカーの単離を目指したマラッセ上皮特異的遺伝子のクローニング
Project/Area Number |
14771008
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
西村 学子 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (10337040)
|
Keywords | 歯根膜 / マラッセ上皮細胞 / ケラチノサイト / 歯原性上皮 |
Research Abstract |
マラッセ上皮遺残は、歯根膜の中という生理的に内部環境に存在する特殊な上皮であり、もともと内外エナメル上皮が発生過程の根相当部で断裂し、ベルトヴイッヒ上皮鞘が歯根膜に残存したものである。これまでに、このマラッセ上皮をブタ歯根膜から単離し、この細胞を用いた研究を行ってきている。口腔上皮と同じ扁平上皮細胞ということから歯肉上皮のモデル系として用いているとの報告もあるが、われわれの行ってきた実験では、Ca^<2+>濃度非依存的細胞増殖を示すなど口腔上皮との違いも明らかになってきている。本研究では、口腔上皮細胞との比較からマラッセ上皮細胞が特異的に発現、あるいは強度に発現しているものを単離し、それらのセメント質形成の誘導、歯根膜再生に関する因子の検索を目的とした。そこで、ブタ歯根膜から単離したマラッセ上皮細胞と口腔上皮細胞からそれぞれRNAを抽出、cDNAを作製後、Differential Display(DD)法を行った。DD法により特異的な遺伝子は、マラッセ上皮のみで発現しているものが16種、マラッセ上皮に強発現していると考えられるものが32種確認された。これらの確認された遺伝子をアクリルアミドゲルごと切り出し、クローニング用ベクターに組み込み単離し、塩基配列を確認した。Blast検索により、マラッセ上皮に特異性の高い遺伝子としてsmall heat shock proteinが候補にあがり、この遺伝子の情報から新たにPCR primerを作製しRT-PCRを再度行った。その結果、口腔上皮との発現の差がみられ、マラッセ上皮特異的遺伝子の一つと考えられた。また、その他切り出されたバンドについては再現性に乏しく、結果として、マラッセ上皮細胞に強く発現が確認された特異遺伝子は2つのみであった。今後は、さらにエナメル関連タンパクをはじめとしたセメント質形成誘導因子を検索していきたい。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Abiko Y, Nishimura M, et al.: "Expression of MIP-3α/CCL20,a macrophage inflammatory protein in oral squamous cell carcinoma"Archiv Oral Biol. 48. 171-175 (2003)
-
[Publications] Abiko Y, Nishimura M, et al.: "Upregulated expression of human (β defensin-1 and -3 mRNA differentiation of keratinocyte immortalized cell lines, HaCaT and PHK16-0b"J Dermatol Sci. 31. 225-228 (2003)
-
[Publications] Nishimura M, et al.: "Localization of human β-defensin 3 mRNA in normal oral epithelium, leukoplakia, and lichen planus : an in situ hybridization study"Med Electron Microsc. 36(1). 94-97 (2003)
-
[Publications] Abiko Y, Nishimura M, et al.: "Defensins in saliva and the salivary glands"Med Electron Microsc. 36(4). 247-252 (2003)