2003 Fiscal Year Annual Research Report
歯根膜樹状細胞の役割(免疫担当細胞として以外の働きに関する研究)
Project/Area Number |
14771013
|
Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
川原 一郎 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (20319114)
|
Keywords | 樹状細胞 / 歯根膜 / 破骨細胞 / 歯の移動 / 骨吸収 / 骨形成 |
Research Abstract |
我々はラット歯根膜の樹状細胞と破骨細胞の関係を検討した.既に我々が報告したが,ラット歯根膜では歯の移動に伴って破骨細胞は特定領域に局在する.そして樹状細胞は破骨細胞とは明瞭に棲み分け的に分布していることが明らかとなっている.今回はラット臼歯を実験的に移動させ,歯根膜の破骨細胞の分布領域が変化するときに,樹状細胞がどのように変化するかを観察検討した.その結果,歯根膜での破骨細胞の分布領域の変化に伴い樹状細胞も分布領域を変化させ,明らかに破骨細胞と連動した分布の変化が認められ,論文にて公表した(松本歯学29:59-65,2003).また,今回の実験系では通常の組織ではあまり見られない幼若な破骨細胞と樹状細胞が多く観察でき,これらの細胞の分化発達過程を形態的に観察するのに適したモデルであることが確認できた.今回の免疫組織化学的電顕所見をふまえて両細胞の特殊な関係がさらに強く示唆され,これらの成果の一部は歯科基礎医学会(2003年9月盛岡)にて公表した.破骨細胞のマーカーとして酒石酸耐性酸性ホスファターゼの他にcathepsin Kを用いてさらに幼弱な破骨細胞の同定に臨んだ.また,歯根膜神経支配と骨吸収の関連性にも目を向け,神経細胞と破骨細胞の細胞膜接触を電顕レベルで検索中である. 以上,歯根膜において破骨細胞が骨吸収領域に分布し,樹状細胞が歯根膜および歯槽骨増殖の領域に特異的に分布することは,歯の移動に伴う歯根膜改造現象にこれらの細胞がそれぞれ重要な働きを担っている可能性が示唆された.
|
Research Products
(1 results)