2002 Fiscal Year Annual Research Report
骨関連細胞の張力感受性陽イオンチャネル候補遺伝子の探索
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14771022
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
熊谷 圭 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (90325176)
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Keywords | 張力感受性陽イオンチャネル / 好中球 / TRPイオンチャネル関連遺伝子 / メカニカルストレス / Ca^<2+>流入 / 好中球遊走 / 機械的刺激 / RT-PCR |
Research Abstract |
あらゆる細胞は機械的刺激に応答して様々な反応を示すが,この受容機構を担う一つが細胞膜の張力感受性陽イオンチャネル(SAチャネル)である.SAチャネルは伸展刺激や圧,擦り応力などのメカニカルストレスに対応した細胞応答の電気的機能単位といて重要な役割を果たしていると考えられているが,その分子実態は不明である.好中球は自然免疫系の重要なエフェクター細胞であって,感染・炎症時に活性化され血管内皮細胞に接着後細胞間隙を通過して血管外に遊走する.この時、好中球は血流によるメカニカルストレスを強く受けるとともに細胞内[Ca^<2+>]i動態及び細胞形態が著しく変動することからSAチャネルが好中球遊走に重要な役割を果たしていると考えられる.そこで好中球に発現するSAチャネルの分子実態について検索した. 1.DEG/ENacイオンチャネル関連遺伝子群およびTRPイオンチャネル関連遺伝子群の発現動態とdegenerate primerを用いRT-PCR方により検索し,PCR産物のホモロジー検索からTRPC3,TRPC6,TRPM2,TRPV1,TRPV5およびTRPVファミリーとTRPMファミリーに相同性の高い遺伝子群の発現を確認した. 2.好中球のCa^<2+>流入機構におけるTRPファミリーの関与について検討した.好中球走化因子f MLPの添加により一過性の上昇に続く持続した[Ca^<2+>]i上昇を認めた.Gd^<3+>(TRPC3,C6,V5チャネル阻害薬)およびruthnium red(TRPV1,V2,V5チャネル阻害薬)はf MLPの[Ca^<2+>]i上昇に影響しなかった.Gd^<3+>はSAチャネルに感受性の高い阻害薬とされており,好中球ではGd^<3+>抵抗性の新しいタイプのSAチャネルが存在する可能性を示唆した.またH_2O_2添加で持続した[Ca^<2+>]i上昇を認めた.この上昇はTRPM2チャネルが活性化されたものと考えられた.
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