2002 Fiscal Year Annual Research Report
ラット顎下腺導管細胞におけるカルシウムシグナルのイメージング
Project/Area Number |
14771025
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
根津 顕弘 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (00305913)
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Keywords | 顎下腺 / 導管細胞 / 腺房細胞 / カルシムシグナル / イメージング / 受容体 |
Research Abstract |
唾液腺細胞における細胞内Ca^<2+>の動態については、主に腺房細胞について調べられてきたが、導管細胞のCa^<2+>動態については十分には検討されていない。本研究では、ラット顎下腺導管細胞と腺房細胞においてアゴニストによる細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]i)上昇反応に違いがあるか否かについて検証した。 酵素処理により調製した顎下腺細胞にfura-2/AMを取り込ませ、アゴニスト刺激後の導管細胞と腺房細胞の[Ca^<2+>]i変化をCa^<2+>画像解析システムを用いて同時にモニターした。 10nMサブスタンスP(SP)は腺房細胞の[Ca^<2+>]iを著明に上昇させたが、導管細胞の[Ca^<2+>]iにはほとんど影響を与えなかった。一方、カルバコール(CCh)およびエピネフリン(Epi)は導管細胞と腺房細胞の[Ca^<2+>]iを濃度依存的に上昇させた。[Ca^<2+>]i上昇の最大値を比較すると、CChによる[Ca^<2+>]i上昇は腺房細胞が導管細胞より高かったのに対し、Epiでは導管細胞が腺房細胞より約2倍高い[Ca<2+>]i上昇を示した。Epiによる[Ca^<2+>]i上昇がαおよびβ受容体のいずれの受容体を介する反応であるのかを調べるため、アンタゴニストを用いて検討した。フェントラミン前処置は、10μM Epiによる腺房細胞の[Ca^<2+>]i上昇を完全に抑制し、導管細胞の[Ca<2+>]i上昇を約65%抑制した。一方、プロプラノロール前処置は、腺房細胞の[Ca^<2+>]i上昇を全く抑制せず、導管細胞の[Ca<2+>]i上昇を約30%抑制した。 導管細胞と腺房細胞では、受容体を介した[Ca<2+>]i上昇反応に違いがあることが確かめられた。腺房細胞はタキキニンおよびムスカリン受容体刺激に対し高い反応性を有していた。一方、導管細胞はαアドレナリン受容体刺激に対して高い反応性を持つことが明かとなった。
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