2002 Fiscal Year Annual Research Report
損傷DNAの認識と選択的修復におけるRNAポリメラーゼIIサブユニットの機能の研究
Project/Area Number |
14771034
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山野 茂 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (20312374)
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Keywords | DNA損傷 / DNA修復 / RNAポリメラーゼII / マイクロサテライト不安定性 |
Research Abstract |
放射線、紫外線、熱、化学物質(食品を含む)等による物理的および化学的刺激に対して敏感である表皮細胞、粘膜細胞中のDNAは、非常に効率的なメカニズムにより修復されることが知られている。DNA損傷が起こるとmRNAの鋳型鎖は相補鎖よりも修復される確立が高く、特殊なタンパクが遺伝子発現上重要なDNA鎖を他方と区別し、選択的にDNAを修復していることを強く示唆する。mRNAの合成酵素であるRNAポリメラーゼII(RPB)は12のサブユニットからなり、転写因子群とともに複合体を形成してDNA上を滑走しながらmRNAの伸張反応を触媒している。このRPB複合体はmRNAの鋳型になるDNA鎖と直接結合することから、選択的DNA修復に関与する特殊なタンパクがこの複合体と協力(もしくは複合体の部としてDNAを検査)していることが予想される。 変異原となる物理的外因、化学的外因が種々の程度で関わることにより、真核細胞のゲノムDNAは可逆的あるいは不可逆的な変化を起こす。マイクロサテライト配列([CA]_nや[CAG]_n)の不安定性(MSI : microsatellite instability)は不可逆的変化の一つであり、マイクロサテライト配列の反復数nはDNA障害や細胞の癌化の前後で増減することが知られている。反復数nの増減は細胞ゲノムDNAを鋳型に用いたnested PCRによって、比較的短時間に直接検索することが可能である。培養上皮細胞に放射線を照射してDNA損傷を誘発し、MSIを指標にしてRPBのどのサブユニットが損傷DNAの認識と修復に関わるのかを確かめるため、本年度はその研究材料の作製を行なった。
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