2002 Fiscal Year Annual Research Report
粘膜免疫系を応用した要介護高齢者の誤嚥性肺炎の新しい予防法の開発
Project/Area Number |
14771043
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
福泉 隆喜 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (50275442)
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Keywords | 唾液 / IgA / 粘膜免疫 / 誤嚥性肺炎 / 動物モデル / ワクチン |
Research Abstract |
誤嚥性肺炎では,複数の口腔内常在細菌による混合感染が多く認められているため,申請者がこれまでに行なってきた方法に準じ,高齢者の誤嚥性肺炎からしばしば分離される口腔内常在細菌と日和見感染細菌のホルマリン死菌全菌体を混合して高齢ウサギの口蓋扁桃に滴下し,誘導された特異的な唾液SIgAおよび血清IgGの量をELISA法で,菌体の排除に最も強く関係する凝集活性を直接凝集反応で,それぞれ測定した.その結果,扁桃投与法で複数種の口腔内常在細菌に対するSIgA応答を同時に高齢ウサギに誘導できることが明らかになった.また,特異的唾液SIgAが誘導されたウサギの口腔内に上記の菌群の生菌を播種し,経日的にウサギ口腔内から細菌を採取して菌数測定したところ,誘導された唾液SIgAによって同菌群が実際に口腔内から減少できることが確認された.これにより,それらの菌数を口腔内で効果的に抑制できることが明らかになった. 一方,高齢ウサギにおける誤嚥性肺炎の実験モデルの確立についても検討を行なった.すなわち,嚥下反射と咳反射の抑制をもたらした高齢ウサギに,ウサギに与える餌を口腔内に残留しやすい粘着性の軟食に変更し,口腔内の自浄作用を低減させることで誤嚥が生じやすいようにしたところ,誤嚥性肺炎をウサギに生じさせることができた.ただし,その頻度はあまり高くなかったため,次年度の研究によって動物モデルの確立を行ないたい.さらに,口腔内常在細菌に対する唾液SIgAによる誤嚥性肺炎の抑制効果についても,次年度にその効果を判定したい.
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