2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14771046
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
君塚 隆太 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (90287178)
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Keywords | Porphyromonas gingivalis / Treponema denticola / Mixed infection / Pneumonia model / Mouse |
Research Abstract |
P.gingivalisとT.denticolaなどの歯周病原菌は、歯周炎のみならず、重篤な肺炎患者からも分離される。そこで私は、マウス肺炎モデルを作製してこれらの歯周病菌を接種しその病態を解析した。BALB/cマウスにP.gingivalis単独群、T.denticola単独群、P.gingivalis・T.denticola混合群の4群にわけ、菌を接種した。接種24,48,72時間後に生菌数、炎症性サイトカイン量を計測した。また各群の膿瘍形成率や致死率を検討した。さらに病理組織学的解析を行った。 P.gingivalis・T.denticola混合感染群で、24時間後、48時間後、72時間後に肺胞洗浄液を回収したところ、回収されたP.gingivalisの生菌数はそれぞれ5.2×10^5,2.1×10^3,3.5×10 CFUであった。48時間後、72時間後におけるP.gingivalis, T.denticola混合接種群は、P.gingivalis単独接種群よりも有意に多くの生菌が回収された(P<0.05)。肺胞洗浄液中のTNFα産生量はP.gingivalis・T.denticola混合感染群では、24時間後にピークを示しその後減少した。TNFα産生量は24時間後、P.gingivalis単独感染群あるいはT.denticola単独感染群よりもP.gingivalis・T.denticola混合感染群の方が有意に増大した。P.gingivalis/T.denticola混合感染群のIL-1β産生量は、P.gingivalis単独感染群に比べ24時間後、72時間後において有意に高かった。経時的変化を見ると、産生は24時間後にピークに達し、以後減少した。一方IL-6産生量は経時的に増大した。しかしながらT.denticola単独感染群のIL-6産生量は、24時間後、48時間後において、P.gingivalis・T.denticola混合感染より増大した。KCは、P.gingivalis単独群よりもP.gingivalis・T.denticola混合感染群において48時間後、72時間後に有意に高い産生を示した(P<0.05)。P.gingivalis・T.denticola混合感染群の40%は、72時間以内に死亡した(P<0.05)。P.gingivalis単独感染群、T.denticola単独感染群いずれにおいても10%の死亡率を示した。膿瘍形成率は、P.gingivalis・T.denticola混合感染群の方がP.gingivalisあるいはT.denticola単独感染群よりも上昇していた。P.gingivalis・T.denticola混合感染72時間後の肺組織像では著明な出血性肺炎を呈し好中球浸潤と気管支周囲および肺胞に出血部位が認められた。私たちの結果から、歯周病原性菌感染による肺炎においては、TNFαは好中球の肺への移動の初期シグナルとなり、IL-6が肺局所に集積することが示唆された。 以上のことからP.gingivalis、T.denticolaなどの歯周病原性菌の混合感染は、呼吸器系感染症の原因の一つとなることが強く示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Ryuta Kimizuka, Tetsuo Kato, kazuyuki Ishihara, Katsuji Okuda: "Mixed infection with Porphyromonas gingivalis and Treponema denticola cause excessive inflammatory responses in a mouse pneumonia model compared with monoinfections"Microbes and infection. 5. 1357-1362 (2003)