2002 Fiscal Year Annual Research Report
骨随間葉系幹細胞の象牙細胞への分化および保存修復治療への応用に関する研究
Project/Area Number |
14771053
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
尾田 良 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (50294567)
|
Keywords | 間葉系幹細胞 / 象牙芽細胞 / Green Fluorescent Protein(GFP) / シュードタイプレトロウイルスベクター / 象牙質再生 |
Research Abstract |
本研究では、イヌの腸骨由来あるいは下顎骨由来の骨髄間葉系幹細胞(MSC)を用いて象牙質再生の可能性を検討するため、まずMSCの多分化能とGreen Fluorescent Protein(GFP)の発色能について検討した。 採取した細胞が象牙芽細胞に分化し、さらには象牙質形成に関与するか否かを判定するためイヌMSCにGFP遺伝子をシュードタイプレトロウイルスベクターを用いて導入した。この細胞が移植期間である30〜60日間発色能を維持することを確認するため、同期間細胞を培養し発色能が保たれていることを確認した。最終的には歯牙の切片を作成し観察するが、GFPが固定、脱灰、脱水操作等を行っても発色能が保たれるかどうかも培養細胞を用いて確認したところ、脱灰において、ギ酸や塩酸で行わずEDTAを用いたほうが発色能が保たれ、また包理時に60℃以上にしないことが必要であった。また、今回用いる細胞が象牙芽細胞に分化するには多分化能を有していなければならない。そこで、in vivo differentiation assayによって検討した。5週齢のscid mouse背部にイヌ腸骨より採取したMSCをハイドロキシアパタイト(HA)顆粒と共に移植し6週間後に取り出し組織切片を作成し観察すると、HAの周囲に骨、脂肪、造血系細胞がみられ、今回用いた細胞は多分化能を有することが判明した。 実際の臨床応用を考慮すると細胞は腸骨でなく歯槽骨から採取すること、また大量に準備することが必要と考えられるため、現在、イヌ歯槽骨から採取したMSC、さらにその細胞を大量培養するためFGF-2を用い増殖させた細胞を同様の方法で多分化能について検討中である。 今後、イヌ歯牙に生活歯髄切断を施し、これらの細胞をキャリアー(スキャホールド)と共に移植し、象牙芽細胞への分化さらには象牙質形成能について検討する予定である。
|