2002 Fiscal Year Annual Research Report
接着機能性分子による歯科用合金とレジンとの接着強度の向上
Project/Area Number |
14771057
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
松田 哲朗 北海道医療大学, 歯科保存第二講座, 助手 (00337031)
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Keywords | 金属接着 / 接着機能性モノマー / 多分子層 |
Research Abstract |
従来、金属表面を接着機能性モノマーで処理する場合には、それらの分子を金属表面に化学吸着させて単分子層を形成させることが、レジンとの接着に有利であるという考え方が主流であった。現在までに報告されている接着強さを調べた研究では、金属表面を接着機能性モノマーで処理した後、十分な量の溶媒を用いて洗浄し、非特異的に吸着している余剰の分子を除去している。 本研究では金属と強い相互作用を有する接着機能性モノマーの場合、必ずしも化学吸着した分子のみならず、金属と化合物を生成して形成した多分子層に含まれる分子も、レジンとの接着に重要な役割を果たすと考えた。そこで歯科用金属の成分の一つである純金板と純銅板を接着機能性モノマーの溶液に所定時間浸漬し、それらの処理された金属板にPMMA板を接着させ、サーマルサイクル(-196℃〜40℃)による剥離試験をおこなった。また、接着機能性モノマーで処理された金属表面をX線光電子分析装置で分析をした。剥離試験では純銅が純金よりもはるかに強い接着性を示し、接着機能性モノマーに15分間以上浸漬したものではPMMA板が剥離することはなかった。それに対し純金では3時間以上浸漬させたものでもPMMA板は完全に剥離していた。この結果をもとに接着機能性モノマーで処理された金属表面をX線光電子分析装置で分析すると、純銅には接着機能性モノマーの分子と銅の化合物から構成される多分子層が形成されていることがわかった。また、その多分子層は浸漬時間の増大とともに成長し、厚くなると考えられる。しかし、純金ではそのような多分子層の形成はみられなかった。このことから、金属の表面に形成した接着機能性モノマーと金属の化合物からなる多分子層は、レジンとの接着に有効であることがわかった。
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