2002 Fiscal Year Annual Research Report
総義歯装着による舌口蓋閉鎖の改善が無歯顎者の摂食嚥下機能回復の鍵となる
Project/Area Number |
14771088
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 光由 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (50284211)
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Keywords | 高齢者 / 嚥下 / 咬合 / 総義歯 |
Research Abstract |
申請者は、某療養型病床群で5年以上にわたり週に1回、嚥下障害を疑われる入院患者の嚥下造影検査(VF)を担当してきた。その中から、経口摂取困難と判断する患者には、一定の傾向があるように感じてきた。すなわち、その一つは意識障害であり、そのもう一つは嚥下機能、なかでも、舌口蓋閉鎖不全、多量の誤嚥,嚥下後の梨状窩をあるれる咽頭残留,嚥下反射遅延時間の大幅な延長などが特徴的所見が経口摂取の可否につながっていると感じるようになった。 そこで、平成11年8月から平成12年12月までに嚥下造影検査を施行した療養型病院に入院している患者うち,後嚥性肺炎が疑われるような発熱を認め,経口摂食を行っている65歳以上の意識障害を伴う高齢者31名を対象に,どのような嚥下機能の障害が患者の生命予後に大きくつながっているのかを明らかにすることとした。 その結果、経口摂食困難と判断した症例は検査した約半数の16名で認められた。また,検査後6ヶ月以内に肺炎を含む心肺不全で死亡した患者は,経口摂食困難と判断した群のみの9名であった。一方、経口摂食困難症例16名のうち経管に変更できたのは11名でしたが,経口に変更できなかった症例との間に予後の差はなかった。これは、これまでの報告と一致しており、経口摂取か否かは予後に大きな影響を与えないことが示された。嚥下機能に関する各画像所見と予後との関係をみると、舌口蓋閉鎖不全所見があった者の約半数(15名中7名)が半年以内に死亡しており、生命予後を判断する上での指標となりえる可能性が示された。 次年度は、この舌公害閉鎖の改善を図るために義歯治療介入を行い、嚥下機能に及ぼす影響を検討していく予定である。
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