2003 Fiscal Year Annual Research Report
グラスファイバー補強型高分子材料のクラスプへの応用
Project/Area Number |
14771098
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
木下 智恵 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (40264436)
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Keywords | ガラス繊維補強型高分子材料 / クラスプ / グラスファイバー / 維持力 / 繰り返し着脱試験 / 部分床義歯 / 審美 / メタルフリー |
Research Abstract |
グラスファイバー補強型高分子材料Targis/Vectris(Ivoclar)を部分床義歯のクラスプとして臨床応用するために,これまでに3点曲げ試験,疲労試験および熱サイクル負荷による機械的性質について検討し,クラスプへの応用が可能な知見を得てきた.さらに臨床に即した条件設定のもと,鉤腕形態と維持力との関係ならびに繰り返し着脱における維持力の減少について検討してきた.今年度は,支台歯を2種類に増やして繰り返し着脱における維持力の減少について検討し,これまでの実験結果をもとに臨床応用した症例の経過観察とアンケート調査を行った. まず,試料はエーカースタイプクラスプとし,支台歯は下顎第一小臼歯を想定した樽状の硬質レジンとして,繰り返し着脱試験による維持力や永久変形量ならびに摩耗について検討した.5000回の着脱において,破折したクラスプは認められず,維持力は支台歯が焼き付け用陶材の場合と比べて約1/2の大きさであった.また、焼き付け用陶材の場合と同様に,永久変形はほとんど認められず,2.6ミクロンと非常に小さい値で,貴金属とほぼ同程度で卑金属よりかなり小さかったが,鉤尖部に摩耗が認められた.次に,臨床応用した17症例の経過観察について,破折が1症例,コーティング層のクラックが5症例,着色がほとんどの症例に認められた.感覚的な維持力の低下は認められなかったが,これは永久変形がほとんど認められなかった結果と対応すると思われる.アンケート調査では,ほぼ全ての症例で義歯に対する満足が得られ,がたつきやすさやはずれやすさは経時的に増すことがなかった.また,クラスプに関しては,15症例中13例で審美的に満足が得られ,色と形態は適当で,金属クラスプと比べて良いという結果であった. 上記の成果は第14回日本歯科審美学会学術大会と日本補綴歯科学会109回学術大会にて発表した.今後,本材料のより適切な適用法を確立するために,さらに材料特性に適った鉤腕形態などについて検討する必要があるごとが考えられた.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 西 恭宏, 水流和徳, 濱野 徹ほか: "ガラス繊維補強型高分子材料のクラスプへの応用 -臨床例の経過観察とアンケート調査-"日本補綴歯科学会雑誌. 47・109. 98 (2003)
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[Publications] 濱野 徹, 西 恭宏, 木下智恵ほか: "ガラス繊維補強型高分子材料のクラスプへの応用 -繰り返し着脱が維持力に及ぼす影響について-"歯科審美. 46・5. 802 (2003)