2002 Fiscal Year Annual Research Report
顎骨骨代謝の四肢骨と対比した特異性-コラーゲンミネラライゼーションとリモデリング関連遺伝子解析による検討-
Project/Area Number |
14771117
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
椿 賢 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (90341487)
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Keywords | 下顎骨 / 大腿骨 / 遺伝子発現 / 骨質 / 老化促進モデルマウス / リジルハイドロキシラーゼ / コラーゲン / アルカリフォスファターゼ |
Research Abstract |
Lysyl hydroxylase(LH)はコラーゲン線維の形成とコラーゲン分子の架橋構造の形成に密接に関与することから,その遺伝子発現や蛋白の局在が骨組織の硬さや物性などの骨質と関連する可能性がある.老化促進モデルマウス(SAM)の下顎骨と大腿骨の骨髄組織中のLHの遺伝子発現を検証して,これら分子の発現パターンが骨質を反映する可能性を探求した.ターゲット因子は,LH1,LH2とLH3の3種類のLHとし,さらに骨芽細胞の分化マーカーであるtype I collagen(COL)とalkaline phosphatase(ALP)についても検証した.変形性顎関節症様症状を呈するSAMP8の下顎骨においては検討した全ての3種類のLHの遺伝子発現を認めたが,若干の関節頭の変形を呈した大腿骨においてはLH2の発現が検出されなかった.また,下顎骨では両方の分化マーカーの遺伝子発現を認めたが,大腿骨ではALPの発現が認められなかった.一方,老化促進症状のない,変形性関節症を呈さないSAMR1の下顎骨および大腿骨でのLHの遺伝子発現パターンはSAMP8のそれらと類似していたが,大腿骨でのLH3の発現がSAMP8とは異なって検出されなかった.以上より,下顎骨と大腿骨間および骨の表現型が異なる大腿骨間で,LH遺伝子の発現パターンが異なることが示された.さらなる検証を必要とするが,両遺伝子発現パターンが骨質を反映する可能性が示唆され,このような遺伝子発現パターンの検証が顎骨骨質診断へと応用されることが期待される。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 長島義之, 松浦尚志, 椿賢, 山本勝己, 大郷友規, 城戸寛史, 都築尊, 蔵本茂禎, 羽生真也, 後藤洋介, 今村英之, 内村朋恵, 松浦正朗, 佐藤博信: "顎骨骨質診断法の開発に関する研究-骨性状を決定する骨代謝遺伝子の発現定量の試み-"日本補綴歯科学会雑誌. 46・5. 800 (2002)