2002 Fiscal Year Annual Research Report
口腔扁平上皮癌の悪性化における転写因子NF-κBの役割
Project/Area Number |
14771126
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
能崎 晋一 金沢大学, 医学部附属病院, 助手 (10283110)
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Keywords | 口腔扁平上癌 / 転写因子 / NF-κB / がん浸潤様式 / 細胞外基質分解酵素 / 線維芽細胞 |
Research Abstract |
口腔扁平上皮癌においても,び漫性に局所浸潤した腫瘍制御の困難さが指摘され,臨床病理学的にもがん浸潤様式が転移形成率や生存率に強く影響することが明らかにされている.また,口腔扁平上皮癌の浸潤・転移の分子機構も検討され,様々な悪性形質との関連性が報告され,それらの多くは転写因子NF-κBに制御されている.しかし,がんの悪性化に伴い刺激を受けることなく,ある種の腫瘍においては恒常的にNF-κBの活性化を認めることも知られている.そこで,口腔扁平上皮癌の浸潤様式と転写因子NF-κBの恒常的な異常活性化に関連性があると考えられた. 生体内でのがん浸潤様式(山本・小浜分類)が明確である口腔扁平上皮癌由来細胞株を使用し,各グレード間での転写因子NF-κBの活性化を比較検討した.浸潤様式3型および4D型由来細胞株ではNF-κBの活性化が認められなかったものの,4C型由来細胞株のみに恒常的なNF-κBに対するDNA結合能の活性化が認められた.また,がん浸潤に欠かせないとされる線維芽細胞(WI-38細胞)を各腫瘍細胞株の培養上清にて24時間処理したところ,前述と同様4C型由来細胞の上清で処理した線維芽細胞のみNF-κBに対するDNA結合能の活性化誘導が認められた. 最も転移形成率が高く,予後が悪いとされる4D型の浸潤・転移機序はin vitroからの結果からは不明であった.しかし,次に予後の悪い4C型については,間質細胞である線維芽細胞との相互作用で,転写因子NF-κBの恒常的な活性化が起こり,がんの進展に強く働くものと考えられた.また,NF-κBな口腔扁平上皮癌の治療標的として評価できると考えられ,NF-κB阻害剤ががん集学的治療に応用できることが示唆された.
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Research Products
(2 results)