2003 Fiscal Year Annual Research Report
Cationic Liposomeをキャリアーとするbax遺伝子治療
Project/Area Number |
14771128
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中瀬 実 三重大学, 医学部, 助手 (40283527)
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Keywords | Liposome / bax / 遺伝子治療 / 骨肉腫 |
Research Abstract |
前年度はCationic Liposomeキャリアーとするbax遺伝子治療のin vitroでの増殖抑制効果を確認したが,今年度は主にin vivoでの実験を行った。ヌードマウス背部皮下に骨肉腫細胞HOSM-1を1×10^6移植後,腫瘍径が約5mmになったところで,各群5匹ずつ,5群に分けた。各投与群の内容は,生食,Liposome単独,bax-plasmid単独,Liposome+empty plasmid(bax遺伝子を挿入していないプラスミド),Liposome+bax-plasmidとした。各薬剤(100μl)を腫瘍周囲に局注,これらを5日に1回,計6回投与し,投与期間中および最終投与終了後4週間,腫瘍体積を測定した。また,最終投与終了時,腫瘍を摘出,アポトーシス発現をTUNEL染色,baxタンパクの発現をウエスタンブロットでそれぞれ評価した。平均腫瘍体積については最終投与終了時,Liposome+bak-plasmid群は生食群の30.6%,最終投与から4週間後では47.9%と顕著に増殖抑制されていた。TUNEL染色では,Liposome+bax-plasmid群の腫瘍で局注穿刺部を中心に陽性細胞を多数認めたが,その他の部分では生食群と差はなかった。Baxの発現をウエスタンブロットで観察したが,in vitroでの結果とは異なり,各投与群で明らかな発現の差はみられなかった。以上の結果より,Cationic Liposomeをキャリアーとするbax遺伝子治療は骨肉腫に対して有用な治療法であることが判明した。しかし,腫瘍内でのアポトーシス発現が比較的限局していたにも関わらず,高い増殖抑制効果が得られた点については,アポトーシスとは異なる機序(血管新生抑制など)も抗腫瘍効果に加わっていたとも考えられ,今後の検討課題である。
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